第6章 苦悩
合宿終了から3週間経った。
あの日以来、天宮さんと話すことが以前と比べて減った。
天宮さんは前と変わらず話しかけてくれるが、僕のほうは少し堅苦しくなってしまった。
特訓のほうは慣れてきたからいいものの、学園生活は何だか味気なく感じてしまった。
放課後、いきなり都山が前に現れた
「おい、坂上。ちょっと来い」
そう言うと、いきなり自分の腕を引っ張った。
「何だよ、都山」
廊下の端まで僕を連れ出して、都山を言った。
「お前、合宿の後の日曜日に何があった?」
「…別に何も」
「隠しても無駄だ。お前が合宿が終わって以来、溜息ばかりついているのは知っている」
「それは、疲れが残っているからだよ」
「嘘をつくな。単刀直入に言う。天宮と何があった?」
「…!」
なぜ、分かった!?
「お前が最近、天宮と話す時にどこか堅苦しくなっているからな」
いちいち観察していたのか。趣味の悪い…
「もう1度聞くぞ。天宮と何があったと聞いている」
「お前には関係のないことだ…」
「いいや、関係がある」
「どういう関係があるんだよ、え?」
お前のせいで自分がどれだけ苦しんでいるのか分かっていっているのか?
お前さえいなければ…
「…どうやら、お前は大きな勘違いをしているようだ…」
都山が溜息まじりに言った。
どういう意味だ?きっちり説明しろよ。
「何が言いたい?」
「今はまだ話せないが、いずれ話す。というより、おのずと分かると思うが…」
「どういう意味だ?分かるように言えよ!」
また、自分に不安を募らせるつもりか!?
「これだけは言っておく。これ以上お前が苦しまないためにな。俺は天宮と特別な関係でも何でもない。
つまり、恋愛関係など全くないということだ。これは嘘ではない。本当のことだ」
「何だと?」
「それともう1つ。天宮も結構お前の様子を気にしていたから、さっさと立ち直ることだな」
それを言い残して、都山は去っていった。
「分からないな…」
家に帰る時からずっと都山の言ったことを考えていたが、理解できない。
「天宮さんと恋愛関係がないってどういうことだ?」
都山が嘘をついたことは聞いたことがないので、本当のことだと思う。
そして、それを聞いて何だか気分がすっきりした。
でも、天宮さんと恋愛関係がない、というのが分からない。
「中学時代は、付き合っていたのは確かだと思うけど…」
じゃあ、分かれたということか?いいや、そのような噂を聞いていないし、なにより今まで全く変わった様子を見せていない。
「何よりも気になったのは、あの言葉…」
―お前は大きな勘違いをしているようだ…
今はまだ話せないが、いずれ話す。というより、おのずと分かると思うが…―
「自分の何が勘違いしているというんだ?」
確かに自分は都山と天宮さんが付き合っていると思っていた。
それは勘違いだというのは分かる。
でも、都山の話しぶりを考えると、どうやらそれだけではなさそうだ。
ああっ、全く意味不明だっ!
とにかく、都山と天宮さんの間に恋愛関係がないと分かっただけで良しとしよう。
悩んだって分からないことだ。
明日のことでも考えよう。
そうして、都山の言うとおり、自分を立ち直した。
「あっ、坂上君…」
「天宮さん、どうやら心配かけたようだね。ごめん…」
「ううん、気にしないで」
そうして、いつもの日常が戻った。
一抹の疑問を残して…
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