第4章 春季合宿 (後編)
合宿3日目、1日の授業が終わったときには疲労が頂点に達していて、正直、会議には行きたくない、
とにかく体を休めたいと思っていた。そんな折、
「今日で合宿の半分が終了した。後半も気合を入れて臨んでほしい。しかし、気の緩みが出てきて、
就寝時間後に部屋で遊ぶやつも出てきているという。そこで、今日は昨日までよりも厳しく部屋を見回ることにした。
全員くれぐれも検挙されないように!」
岡本先生が釘をさした。まあ、普通はこうなるよな。問題はどうやって部屋を抜け出すかだ。
部屋に戻る間、部屋の人達にばれず、なおかつ、先生方に見つからずに会議の部屋に行く方法を考えてみたが、思い浮かばない。
もう都山に聞くしかないな。
部屋に戻ると、都山含めて部屋の全員が円形になっていた。
「おう、坂上。今から残り合宿2日の成功を祈って乾杯するつもりなんだ。おまえも早く来いよ」
佐伯が手招きした。
「だっ、誰がそんなことをしようと言ったんだ?」
「都山君だよ。彼、なかなか面白いことをするもんだね」
清水君、君まで…
「ほら、お前の分のジュースだ」
都山が注いでくれた。
「それじゃあ、合宿成功を祈って乾杯!」
「乾杯!」
都山はなぜこんなことをするんだ?気でもふれたのか?
その後10分くらい、都山の持ってきた菓子類をつまんだり、ジュースを飲んだりした。
「おっと、もうそろそろ就寝時間だ。ばれないうちにさっさと寝ようか」
そう言うと、都山は食べ物などを片付け始めた。他の皆も寝始めた。
「おい、都山。何がしたかったんだ?会議のことどうするつもりだよ」
「今から話す」
「今からここでか?皆に聞かれるだろ!しかも途中で誰かが目を覚まして、俺達がいなかったら大騒ぎになってしまうだろ!」
「その心配はない。今から5時間、今11時30分だから4時30分近くまで目を覚まさない。睡眠薬を俺達以外のコップに入れたから」
都山がそう言って睡眠薬を取り出した。なんてことをするやつだ、こいつは。
「ちなみに、天宮さんの部屋も同じことになっているだろう。俺がそうするように言っておいたから」
こいつは…。天宮さんになんてことを指示したんだっ!
「さて、時間が惜しい。さっさと手順を説明するぞ」
いつか絶対こいつを1発殴ってやろうと思った。
都山の説明はこうだった。まず12時過ぎから見回りが始まる。先生方は部屋に入って全員が寝ていることを確認すると、鍵をかけて
出て行く。1部屋1分という計算で、各フロア約20分ほどで終わるという計算だ。つまり、12時40分には完全に見回りが終わることになる。
後は、内側から鍵を解除して目的の場所に行くというわけだ。さすが理論屋。皆を寝かすところから全て、合宿前から計算づくか。
でも、皆には申し訳ないことをしたな…。謝るに謝れない。
「よし、先生もこの部屋を見たし、12時40分を過ぎた。行くぞ」
部屋の皆は熟睡だ。これは絶対に起きる気配がない。
「よし、行こう」
僕は覚悟を決めて部屋を出て会議が行われる部屋へと向かった。
都山の計画通り、廊下には誰一人としていなく、あっさりと目的の部屋までたどり着けた。
「よし、ここだな。入るぞ」
「天宮さんはもう来ているかな?」
「あいつのことだ。心配するな」
扉をノックして入ると、そこには天宮さんを含めて全員来ていた。
「あっ、都山君、坂上君。大丈夫だった?」
「天宮さん。早かったね」
都山の言うとおり、心配なかったようだ。
「ううん、今来たところだよ」
「これで全員そろいましたね。夜も遅いですし、早速会議を始めましょう」
もうすぐ1時だ。早く会議が終わって寝たいです、神崎部長。
「今回の議題は1回目の定期試験までの予定を作りたいと思います」
早いですね。それは、合宿明けでもいいと思うんですけど…
「まず、合宿が終わったら、引き続き特訓を行います。これは、定期試験の3週間前まで週5日、放課後3時間行う予定です。場所は以前と変わりません。
それ以外で何か意見がありますか?」
週5日も行われたら、自分の成績が下がってしまう。そうなれば、天宮さんと別クラスになりかねない。
ただでさえ、あまり勉強していないのに…
「神崎部長。できれば定期試験前の3週間、勉強会といったものを開いてくれませんか?」
おおっ、都山、ナイスフォロー!その3週間必死に勉強すれば何とかなるだろう。
「そうですね…。まあ、いいでしょう。私達も試験につまづいて、夏休みに補習に駆り出されたくありませんからね。分かりました、そうしましょうか」
これで試験は何とかなりそうだ。でも、都山がそんなことを言い出すなんて、珍しいな。都山も不安があるのか?
「もう1つ、提案があります。特訓は、月、火、木、金、土に行う、でどうでしょうか?」
「私もそう考えていたところです」
神崎部長が頷いた。僕もそれが1番いいと思う。
「それでは、他にありませんか?」
神崎部長は全員に尋ねた。僕は、これで十分だ。
「なければ、私達も寝たいので、これにて会議は終了です、お疲れ様」
こちらも早く休みたいです。
合宿4日目は散々だった。授業はほとんど寝てしまった。清水君は何度も起こしたと言ったけど、正直そんな実感はなかった。
「よほど疲れがたまっているんだね」
「俺達なんかすっきりしているぜ」
この2人は睡眠薬入りのジュースを飲んだからそうだろう。しかし、それは言えない。
「まあ、残り半日で合宿は終わりだし、もう少しだよ」
そう清水君は励ましてくれた。
そうだ、残り半日だし、その次の日は日曜だから休みだ。
「よし、あと一息だ」
僕は、気合を入れなおした。
合宿5日目、半日だけと分かっていたから、気分は楽だった。
「終わったー!」
前半3日間は集中して授業を受けていたから、結構勉強できたと思う。4日目は仕方ないな…
「さすが、桐浪学園の合宿。つらかったよな?」
「俺は結構楽な方だったと思うぜ?」
佐伯がそんな一言。寝てばかりのこいつの言うことはどうでもいい。
「そうだね。本当、疲れたよ」
清水君は多分、ずっと真面目に授業を受けていたんだろうな。
「まあ、何はともあれ、無事終わって良かったよ」
こうして、春季合宿は終わったのだった。
しかし、日曜日を明けると、週5日の特訓が待っているから、手放しに喜べない…
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