第八話「撃破戦①東場の攻防」
萬子: 一二三四伍六七八九
筒子: ①②③④⑤⑥⑦⑧⑨
索子: 123456789
字牌: 東南西北白發中
東一局一本場 親:剛志 ドラ:白
剛志【勲章】3 進一郎【傷】1 忍【傷】1 龍之介【傷】1 交代
龍之介が小沢と交代した。
剛志の配牌:
西四六七233468②③⑥⑧ →西
「(! 何だコイツ!)」一輝が驚いた。
「(天和の後だ。剛志に対して攻めるか、守るかで、明暗が分かれるだ)」と、吉太郎は思った。
「(流石、天和を和了った後の配牌だ! 勢いがある)」恭次郎も驚いた。
進一郎の配牌:
一三伍5569①⑥➈西西白
「矻」進一郎が動いた。打①
「オイ、オイ、せっかちくん。第一打の親のオタ風切りに反応すんの?」小沢は冷やかしたが、狙いはわかっていた。
「(俺が、南家でもそうするね。ツイている親の自摸を頂けるんだ・・・。代わりに剛志は、北家の自摸を自模らされるんだ。それを、剛志が理解しているかどうかだ・・・)」
剛志:
六七八233468③③⑥⑧ 發→發
六七八233468③③⑥⑧ 一→一
六七八233468③③⑥⑧ ④→④
「(ニヤリ)」小沢が、進一郎の読みが的中したことを悟った。
進一郎:
一三伍5569⑥➈白 7→9 矻西西西
一三伍5567⑥➈白 ⑤→➈ 矻西西西
一三伍5567⑤⑥白 5→一 矻西西西
三伍55567⑤⑥白 ⑦→三 矻西西西
伍55567⑤⑥⑦白 六→白 矻西西西
「! (白の後付けじゃない! 聴牌った!)」小沢が気付いた。
伍六55567⑤⑥⑦ 矻西西西
「(あの配牌を聴牌に持って行った! ⑦も7も食い取った! 進一郎の勝ちだ!)」一輝が確信した。
「打七」忍が、自摸切りをした。
「放銃! 三色だけです」進一郎が和了りきった。
「(和了点の大きさは関係ない。まず自分が勝ち抜けすることに意味がある)」恭次郎が思った。
「西を鳴かれて、調子が狂っちまったぜ~。忍ちゃん、カワイソウに・・・」剛志がボヤいた。そして、この一言が野暮だった。
「(その程度の認識か?)」進一郎がニヤけた。
「(コイツ、弱い!)」小沢が笑った。
「(さて、負けざまを見てやろう!)」一輝が、思った。
「(忍を早々に退場させて、卓内で傷をつけ合う作戦なんだ! 忍が戻ってきた頃は、全員が傷だらけになっている! だから、忍は負けずに済むんだ!)」龍之介が思った。
「忍は後半になれば連続で打てるから、少し休んでおくだ」吉太郎は忍を労った。
「ありがとう。いつもそうね・・・」忍は少しだけ、自分が場違いな気がした。
【勲章-傷】
剛志【3-0】 進一郎【2-1】 忍【0-2】 龍之介【0-1】 小沢【0-0】
忍が抜けて、恭次郎が入った。恭次郎と小沢の思惑は一致していた。
「(自摸和了!)」それは、何故であろうか。
東二局
親:進一郎 南:恭次郎 西:小沢 北:剛志
「自摸!」小沢が自摸ノミで、親を流した。進一郎が交代し、吉太郎が席に着いた。
剛志【3-1】 進一郎【2-3】 忍【0-2】 龍之介【0-1】 小沢【2-0】恭次郎【0-1】
東三局
親:恭次郎 南:小沢 西:剛志 北: 吉太郎
「自摸!」吉太郎が平和を自摸って、親を流した。恭次郎が交代し、一輝が席に着いた。
剛志【3-2】 進一郎【2-3】 忍【0-2】 龍之介【0-1】 小沢【2-1】恭次郎【0-3】 吉太郎【2-0】
東四局
親:小沢 南:剛志 西:吉太郎 北:一輝
「連続で打っているから疲れただろう。休ませてあげるよ」一輝が、剛志に言った。
「ん? 大丈夫だよ。ありがと~」剛志は、一輝の言葉の意味が分からなかった。
「(狙い撃ち宣言だよ)」
「(気づけよ!)」
剛志:
三三四四伍345③④⑤⑧⑧ 白→白
「ロンだ」一輝が低い声で言った。
「え? こんなクズ牌で和了出来んの? 役牌のみ?」剛志は動揺した。
「キミに天和に、敬意を表そう。そして、俺も役満の和了だ」
捨て牌は、
6伍伍3③2八2 だった。剛志は冷汗が出た。
「全然、他人の手を見ていないのか? 麻雀は自分一人で打っているのか?」
一九19①⑨東南西北白發中
「新入り相手に、悪いな・・・。国士無双だ」
「ぐっ!」剛志は、叫びたくなるのを必死にこらえた。
「へっ! 振っちまったぜ! みんなの弁当買ってきてやるよ」と、平静を装った。
「悪いな。お前、免許がないだろう。自転車しかないぞ」
「大丈夫だよ。ちょっと行ってくるよ」全員のメニューを聞いて、金を受け取って出かけて行った。
「一輝さん、少々キツ過ぎやしませんか? 新入り相手に役満直撃は?」龍之介が言った。
「これでアイツの負け様が見れる。麻雀が下手糞では、使い物にならん。悔しければ、強くなるだけだ」一輝は吐き捨てた。
「案外、金を持って逃げたかも知れんど」吉太郎が言った。
「それならそれで、エピソードとしては面白い」恭次郎が言った。
「馬鹿か、天才か、凡才か・・・」一輝はボソリと言った。
「威勢がいいだけだったかも知れないですね」進一郎が言った。
「(手ゴマが一つ減るのは、寂しいわね~)」と、忍は思った。
青葉山の頂上にある大学だった。自転車だと麓まで一時間以上かかる計算だったが、三十分も経たずに剛志は帰って来た。
「たっだいま~」
「随分、早いな。金持って逃げたかと思ったど」吉太郎が言った。
「誰も、逃げねえよ。順番が来たら、すぐに入るぜ!」
「お前、自転車なのに、よくこんなに早く帰ってこれたな~」小沢が聞いた。
「あぁ、タクシーで行って来た!」剛志は平然と言った。
「!」一同は驚いた。
「それが、どうかしたのか?」
「あぁ、馬鹿確定だ!」一輝が言った。




