第13話「武装麻雀①夢はでっかく育てようぜ!」
「ちゃーっす!」剛志がサークル室に入ると、雀帝さま、吉太郎、恭次郎がいた。
「よぉ! ちょうどいいところに来たな。打つか?」恭次郎が言った。
「どーしてもってならいいよ。頼まれたら二回。俺に頭を下げるんなら三回。土下座するなら四回。俺を雀帝にするんなら五回打つよ」嬉々として答えた。
「・・・」
「・・・」吉太郎と恭次郎は黙ったままだった。
「残念ながら、キミに頭を下げるつもりはない。三人で打つよ」と言って一輝が卓に向かった。
「んだ、んだ。そうするだ」吉太郎がついて行った。
「駆け引きが下手だな~。お前は」恭次郎も着いて行った。
「冗談ですよ~。雀帝さま~」剛志は慌てて追いかけた。
「それでは、下手くそくんのために、麻雀の特訓を行う。名付けて【武装麻雀】だ」
「ちょっと~、先輩。下手くそって言われてますぜ」剛志は、恭次郎に言った。
「お前のことだよ」恭次郎は言い返した。
【武装麻雀】ど下手くそ(初心者)接待ルール
・対象者には、以下の特別ルールが適用される。
①放銃免除(REACH GUARD)聴牌後にリーチをかけたら、放銃を避けることが出来る。
②神の目(GOD’S EYE)必要に応じて、相手の手配を見て良い。
③三倍自摸(TRIPLE HANDS)一局に一回だけ、三枚自模っても良い。
④泣く子は育つ(CLYING PLUS)吃や矻や槓(暗槓・明槓問わず)がある度に、一翻加算してよい
⑤双頭龍(DOUBLE DRAGON)和了した場合、王牌からドラを増やしてよい。
⑥お前は休め(REST ORDER)配牌時に相手の手配を見たうえで、一人を自摸切りマシーンに任命できる。
「こんなルールで打っていいんですか?」剛志は涎を垂らした。
「下手くそくんに強くなってもらわなければいならないからな」一輝が言った。
「これ全部使っていいの?」
「通常は相手のレベルに合わせて、賽子で①~⑥のどれか二つか三つを適用する。だけどキミは、全部選んでいいよ」一輝が涼しい顏で言った。
「貰ったぜ!」剛志が泥棒の顔になった。
「ふっふっふ。俺たち相手にうまくいくかな?」恭次郎が言った。
「これで、三人に勝った人はいるんですか?」
「三つ以上適用されて俺たちに勝った奴はいる。だが、二つ適用されて勝った奴はいない」一輝が鋭い目つきになって言った。
「勝たせて貰いますぜ~」剛志が不敵に笑った。
「俺たちにとっても、修行になるでば」吉太郎が言った。
東:一輝 南:吉太郎 西:恭次郎 北:剛志 ドラ:發
起家:一輝 一二六八236②②⑤東西發發
南:吉太郎 三三七九129①②⑥⑧南南
西:恭次郎 四六八八457④⑥⑦⑧北白
北:剛志 一二四七八159⑥⑧⑨白白
「さぁ、どうする? 『お前は休め』を発動するか?」
「・・・雀帝さん、休んで貰うぜ!」
「あぁ、分かった・・・(ドラ二枚に引っかかったな・・・)」一輝は手牌を伏せた(⑥が適用された)。
一輝が自摸切りを繰り返すのを尻目に、吉太郎と恭次郎は順調に手を進めていた。
五巡後
起家:一輝 一二六八236②②⑤東西發發
南:吉太郎 三三六七123⑤⑥⑧南南南
西:恭次郎 四伍六八八45④⑤⑥⑦⑧白
北:剛志 一二四伍七八45⑥⑧⑨白白
剛志は、萬子が伸びないのが気になった。
「チョット、見せてもらうぜ~」と言って、全員の手を見に行った(②の適用)。
「(雀帝は、変わりないな。当たり前か・・・
南家は、役牌が暗刻か・・・、一向聴だな・・・。安いからいいか・・・
西家は、随分育ったな・・・、危険だな・・・)」剛志は焦ったので、自摸の順番が回ってきたところで宣言した。
「三倍自摸を使うぜ!」
「いーよ」自摸切りマシーンの一輝が言った。
北:剛志 一二四伍七八45⑥⑧⑨白白 二②九 →一②⑨
「(あんまり効果がないな・・・)」手応えがなかった。もたもたしている間に、恭次郎が聴牌った。
西:恭次郎 四伍六八八45④⑤⑥⑦⑧白 ⑥→白
「リーチ!」恭次郎が言った。
「矻!」打牌に剛志が食いついた。
北:剛志 二二四伍七八九45⑥⑧ 矻白白(白) →⑧
次巡、恭次郎が自摸切った六に食いついた。
「吃! (追いついたぜ!)」
北:剛志 二二七八九45 矻白白(白) 吃四伍(六)→⑥
「(必死になって殴り合いに向かう手なのか?)」一輝は冷ややかに見ていた。
「(いろいろ動き回ってるだ・・・)」吉太郎も冷ややかだった。
「(ふっふっふ。白のみの手だが、『泣く子は育つ』(④の適用)でプラス二翻。『双頭龍』(⑤の適用)でドラ(白の予定)が増えれば、白(1)、泣く子(2)、ドラ(3)も夢じゃないぜ!)」剛志の夢はデカかった。しかし、現実は厳しかった。
「③自摸! 安めだ」恭次郎は残念そうに言った。
「(五つ使って不発に終わったか・・・。コイツ才能があるかも・・・)」一輝は仮説を立ててみた。
「(いろいろ動き回ったが、ダメだったか・・・。反省してるだか?)」と、吉太郎は思った。
「(デカい手だったのか・・・?)」恭次郎も興味を惹かれた。
「くっそー、跳満逃したぜ!」剛志は強がって見せた。
「ほー、それは面白い」一輝が臨戦態勢に入った。
「手加減は、やめるど」吉太郎の心にも火が付いた。
「俺も様子見は止めだ」と、恭次郎が言った。




