第十二話「撃破戦②仲良くしましょうぜ!」「ダメだね!」
吉太郎【0-0】 一輝【1-1】 恭次郎【0-2】 進一郎【0-1】
東二局 親:一輝 ドラ:北
一輝:伍6②六③6④4伍七5伍6
「・・・(良く分かんねぇな・・・)」剛志は、何待ちか悩んでいた。
「36待ちだよ」龍之介が、小声で教えた。
「伍八36待ちだよ」小沢が訂正した。
→伍伍伍六七45666②③④
「さぁすがぁ、先輩たちは賢いですねぇ!」剛志の態度が気持ち悪かった。部屋の端で、わちゃわちゃしているのを尻目に、場が動いた。一輝の変則待ちに進一郎が捕まった。
「ロン! 断么九のみ!」(⑥⑦が適用される)
「(マズイ! 支配された!)」進一郎は、一輝に逆らうことを禁止された。
「(突き抜けられるだ! マズイど!)」吉太郎も焦った。
「(独壇場にさせるかぁ!)」恭次郎も焦りを見せた。
吉太郎【0-0】 一輝【2-1】 恭次郎【0-2】 進一郎【0-3】
東二局一本場 親:一輝 ドラ:2
進一郎が自摸ノミを和了したが、一輝に支配されているので親を流すだけになった(①⑦の適用)。
吉太郎【0-0】 一輝【2-1】 恭次郎【0-2】 進一郎【0-3】
「すみません。親を流すくらいしか出来ませんでした」進一郎が謝った。
「上出来だ。今の流れでは」恭次郎が労った。
「まぁ、しかたねえど」吉太郎も慰めた。
「・・・ふっ」一輝は、安堵した。手牌が死んでいたからだ。
一輝:一一三七八2455⑦⑧⑨⑨
東三局 親:恭次郎 ドラ:⑦
麻雀は、「自摸合戦」でも「死人相手」でもない。従って放銃が特に嫌なこのルールでは、自然に打ち方が消極的にならざるを得なかった。配牌と自摸に恵まれぬものは、場の状況に合わせて打つしかない。相手の聴牌気配を察しては手を崩し、手牌を構築し直しては勝負に挑む。その醍醐味が分からぬものには、麻雀の「真の楽しさ」や「奥深さ」を味わうことは出来ない。恭次郎の不幸は、配牌にも自摸にも恵まれない事だった。
― 流局 ―
「ノーテン」
「ノーテン」
「聴牌」
「聴牌」
恭次郎【0-3】 進一郎【0-4】 吉太郎【0-0】 一輝【2-1】
(⑫⑬が適用された)
東四局一本場 親:進一郎 ドラ:5
待望の親が巡って来たが、実力に差があり過ぎた。進一郎は、またしても一輝に打ち取られた(⑤⑧⑨が適用される)。
進一郎【0-6】 吉太郎【0-0】 一輝【3-1】 恭次郎【0-3】
「勲章」や「傷」に差がなければ、一輝が抜けた状態で、延長戦に突入する(⑩が適用されるが、進一郎の場合⑪は免れる)。
― 撃破戦終了 ―
「勝ち抜けが決まり、勲章や傷の数に差があることにより、『撃破戦』終了を宣言する。二〇二六年・上半期の雀帝は、天翔一輝である」
とっくに家に帰った忍以外が拍手をした。
(二〇二六年・上半期)サークル内順位
1位 雀帝 天翔一輝
2位 武帝 堂満吉太郎
3位 将軍 堂満恭次郎
4位 軍師 海東 進一郎
5位 軍曹 小澤流麗
6位 兵卒 五丈原忍
7位 下僕 碧沢龍之介
8位 名誉珈琲大臣 引来剛志
「いやぁ~。勉強になりました。みなさん、お強かったです!」剛志の口数は多かった。
「こうしてみると、案外順当な結果だな」恭次郎が言った。
「脱落戦で、しくじってしまったよ」小沢が言った。
「いや、先輩の戦いぶりは見事でした」剛志が労った。
「俺も、良いところがなかったよ」龍之介が反省した。
「そんなことはありませんよ。充分頑張ったじゃないですか~」剛志が労った。
「キミは、麻雀の勉強を根本的にやり直した方がいいね」一輝が言った。
「やり返しますとも。雀武帝様のお言葉は一つひとつ身に沁みます」ここまで来ると、剛志の目論見は皆にバレていた。
「お前まさか・・・」龍之介が言った。
「さぁ、皆さんで一緒に戦いましょう! 我々は、仲間です!」と言ってみたが、みんなの視線が冷たかった。
「それはいいが、まず珈琲を買ってこいや!」龍之介が言った。
「俺は、いや、私は・・・。いや、自分はまだ、未熟者であります! よろしくご指導・ご鞭撻をお願いします!」深々と頭を下げた。
「まず、マズイ珈琲買ってこいや! 話はそれからだ!」龍之介は、許さなかった。
「せんぱ~い。お手柔らかにお願いします!」
「ふっふっふ。ブーメランを味わいなさい! 恨むなら、今までの自分の態度を恨みなさい!」
「・・・! はい・・・」こうして剛志の地獄が始まった。「月間順位戦」という形を取っていたが、入れ替え戦は実質半年に一回の開催だった。通常ひと月一瓶で済むのだが、次の順位戦まで十六瓶飲まれた。
比留木 将
第一章「初心者カモネギ編」(完)
第二章「雀武帝杯・東日本大会編」に続く(予定)




