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超板金 山形ロボ ―ロボットがランドマークになった街で、怪異が目を覚ます―  作者: bobson3b


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99/200

098 【断章】2012年7月14日(土) 予算会議

極秘


昭和55年(1980年)防衛技術研究局 内部資料

対異常気象現象(通称:邪神現象)広域防衛構想案 抜粋



---


第一節 戦略評価の前提


昭和20年代後半より観測される異常気象現象は、

単なる自然災害ではなく、

空間歪曲・質量変動・生態系改変を伴う高次元干渉現象である可能性が高い。


当該現象に対抗するため、

全国主要拠点に「都道府県防衛機構(70m級人型防衛機)」の配備を基本方針とする。



---


第二節 東北地方の戦略優先度評価


1. 青森県


・津軽海峡を有する戦略的要衝

・北海道との接続防衛線の最前線

・海峡制圧喪失は日本海・太平洋両正面に影響


→ 70m級シングル炉機 必須



---


2. 秋田県


・日本海側侵攻想定ルート上

・海岸線防衛の重要拠点


→ 70m級シングル炉機 必須



---


3. 岩手県


・太平洋側広域防衛

・内陸縦深防衛の要


→ 70m級ツイン炉機 推奨



---


4. 宮城県


・東北地方行政・経済中枢

・物流・交通ハブ

・広域統制機能


→ 70m級ツイン炉指揮統制型 必須



---


5. 福島県


・首都圏近接

・東北南端防衛ライン


→ 70m級ツイン炉重装型 必須



---


第三節 北海道特別防衛構想


北海道は国土面積および侵攻想定経路の広域性から

単一機では防衛不可能と判断。


よって、


・70m級 ×4機 分散配備

・非常時合体機構を実装

・合体時 150m級

・四炉並列固定型(高出力持続戦闘用)


北海道は「単独戦区」として扱う。



---


第四節 山形県の特異判断


山形県については以下の理由により

広域防衛優先度は相対的に低いと判断された。


(1)海上侵攻経路の重複


山形県は日本海側に面するものの、

想定侵攻経路は秋田県および新潟県の防衛圏と重複する。


よって、独立した海上迎撃拠点としての優先度は低い。


広域迎撃能力は隣接県の70m級防衛機により代替可能と判断。


(2)首都圏との直接接続性


山形県は首都圏への即応ライン上に位置しない。


福島県を経由する南方ルート、

宮城県経由の東北縦断ルートが優先的防衛軸となる。


したがって、首都圏防衛の観点における直接的戦略価値は限定的。


(3)軍事的重要拠点の不在


当該地域には、


・主要海軍基地

・航空優勢確保拠点

・弾薬・燃料中枢備蓄基地

・国家中枢機関


が存在しない。


よって敵勢力による第一波攻撃対象となる可能性は低い。


(4)人口密度および産業基盤


人口密度は全国平均を下回り、

重工業・国家基幹産業の集中度も高くない。


経済的損失評価においては

他県に比べ戦略的優先度は相対的に低いと判断。


しかしながら、

地下深部より発生する異常空間歪曲現象の観測頻度が

全国平均を大きく上回る。


加えて、情報隠蔽困難な事象発生率が高い。


以上より、


山形県には


・120m級フレーム(大型基幹機)

・20m級コアユニット(分離運用可)


を配備する。


当該機は他県70m級とは異なる思想で設計する。


目的は「防衛」ではなく


■ 空間異常の封印

■ 情報統制

■ 結界維持

■ 最終局面における拠点機能


である。



---


第五節 結論


他県が「国土防衛」を目的とするのに対し、

山形機は「世界秩序維持装置」としての性格を持つ。


その存在は

原則、非公開。


情報管理レベル:最上位。


――――――――――

――――――――――


2012年 防衛装備庁 特別統合設計会議


(機密指定:特A)


日時:2012年7月14日(土) 09時00分〜11時42分

場所:防衛省別館 地下第3会議室(記録上は第2会議室扱い)

議題:首都圏防衛機構 新造基本設計案の検討

出席者:

国家安全保障担当内閣官房副長官補

防衛装備庁 技監

統合幕僚監部代表

財務省主計局担当参事官

都道府県防衛機構統括技術顧問

他、記録非公開



――――――――――


■議長(統合幕僚監部 技術統括官)

「1999年事案の統括結果を踏まえる。

各都道府県防衛機の生存率、撃破効率、稼働継続時間、精神侵食耐性。

横断比較の結論を提示してくれ。」


室内照度が一段落ちる。

投影。


仙台:指揮能力優秀。炉出力不足。

秋田:高火力。持続戦闘能力に課題。

岩手:防御特化。機動制限。

福島:突撃型。損耗率高。

青森:高機動。持久戦に弱点。


最後に表示される。


山形。


設計思想:重装換装型・大型フレーム分離コア方式。

異常事態適応値:最高。


沈黙(記録:14秒)


■技術顧問

「山形タイプは、本来優先度の低い地域へ配備された余剰枠設計です。

しかし結果的に、最も長時間戦域に耐えた。」


■議長

「理由は。」


■技術顧問

「質量です。

120m級。

70m級は対怪異標準ですが、“存在重量”が不足した。」


若い設計官が口を挟む。


■若手設計官

「しかし三動力炉です。

霊子炉《如来》

光子炉《観音》

次元炉《菩薩》

並列干渉が大きすぎる。」


1999年最終ログ。

炉干渉率、危険域。


■技術顧問

「直列化した瞬間、別物になった。」


誰も否定しない。


■議長

「首都圏に同様の暴走は持ち込めない。」


■研究主任

「提案です。」


スライド切替。


――――

新設計案:首都圏防衛機 基本フレーム


・山形型大型分離構造採用

・120m級相当質量

・炉再設計


三動力炉方式は維持。

霊子炉・光子炉は不採用。

次元炉《菩薩》三基並列。

――――


■設計官

「同質炉三基による安定並列。

平時分散制御。

非常時のみ直列接続。」


■議長

「直列出力は。」


■設計官

「理論上、山形最終出力超過。

ただし――」


■議長

「ただし。」


■設計官

「操縦者精神耐久が保ちません。」


静止。


映像が一瞬流れる。

止まる。


■技術顧問

「首都圏に必要なのは英雄ではない。

再現可能な設計だ。」


■議長

「……山形は奇跡だった。」


■若手設計官(小声)

「……あるいは呪いか。」


誰も拾わない。


資料切替。

20m級コア設計図。


沈黙(記録:18秒)


■財務省主計局参事官

「山形型そのままか。」


■統括技術顧問

「構造思想は同一。

分離型コアによる情報隠蔽性と戦略可搬性を優先。」


■内閣官房副長官補

「首都圏配備機だ。

地方型と同意匠では政治的に難しい。」


■統幕代表

「抑止は心理戦でもある。

正直、箱型では弱い。」


■装備庁 技監

「120mは良い。

だが20mコアは再設計だ。

……正直、おもちゃに見える。」


(記録:設計再協議事項指定)


■技術顧問

「構造を変えれば三炉統一制御と干渉する可能性が。」


■装備庁 技監

「構造は維持。

外装のみ再設計。」


■財務省

「象徴性の付与、という理解で。」


■副長官補

「“中心”に相応しい姿が必要だ。」


間。


■議長

「結論を出す。」


――――


結論


首都圏防衛ロボ基本フレームは山形型を基礎とする。

動力炉:次元炉《菩薩》三基並列。

非常時のみ直列接続許可。

発動条件:国家緊急事態宣言下限定。


――――


会議終了。


最後に残った技術顧問が、独りごちる。


「だがな……山形の真似をしても、

“あれ”は再現できない。」


誰も答えない。


照明が静かに落ちる。


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