表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超板金 山形ロボ ―ロボットがランドマークになった街で、怪異が目を覚ます―  作者: bobson3b


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/200

076 2026年5月05日(火)_02 再始動

文翔館。


遠く七日町の喧騒と、古い石壁に反響する足音を背に、

一葉はエレベーターへ乗り込む。


扉が閉まる。


表示灯は、

「F2」

「F1」

――そこで、一度、止まる。


誰も知らない階層。


一葉は、壁際の操作パネルに、

指を数度、一定の間隔で触れる。


一拍、


低い電子音。

続いて、重い金属が噛み合うような、

“カン”という音が、床の奥から返ってくる。




エレベーターは、再び、沈み始めた。



---


体が、ふっと軽くなる。

高速で降下する感覚。


耳の奥が、わずかに詰まる。


どれくらい、降りたのか分からない。


やがて、

深い場所から、低く、機械の呼吸のような振動が伝わってくる。



---


到着。


扉が、左右に開く。


視界いっぱいに、

地下ドックの空間が広がる。


天井は、遥か上。

照明に照らされて、

二十メートルの“箱”が、静かに立っている。


山形ロボ。


装甲は鈍く光り、

無骨なシルエット、

見慣れた箱。

でも、

雰囲気はまるで違う。


傷一つない丸いセンサーが、

一瞬、こちらを見た気がした。



---


整備班の面々が、

作業台のそばで手を止める。


誰も、声をかけない。


でも、

視線だけが、やさしい。


---


一葉は、階段へ向かう。


指令室へ続く、長い、長い階段。


足音が、金属に響く。

ひとつ、またひとつ。


呼吸が、自然と、深くなる。



---


防音扉の前で、立ち止まる。


一瞬だけ、目を閉じる。


そして、開く。



---


扉が開く。


ふわりと、

新しい電子機器の匂いが、鼻をかすめる。


プラスチックと、金属と、

ほんの少しの、熱と、電気の匂い。


「……え?」


思わず、声が漏れる。


そこには、

見慣れた顔ぶれと、

見慣れない風景。


壁一面の立体表示。

タブレットとホログラム。

静かに脈打つ、光のライン。


完全に生まれ変わった、指令室。



---


「おかえりなさい」


誰かが、言う。


児島か。

若林か。


分からない。

でも、ちゃんと、届いた。



---


一葉は、胸の奥に、空気を入れる。


そして、はっきりと、言う。


「ただいま」



---


その目に、

もう、迷いはなかった。


守る理由は、

もう、剣の形をして、

ちゃんと、手の中にあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SF / ロボット / 地方都市 / 行政・公務員 / 都市伝説
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ