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超板金 山形ロボ ―ロボットがランドマークになった街で、怪異が目を覚ます―  作者: bobson3b


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005 2026年4月20日(月)_01 初めての異動

2026年4月20日 月曜日。

片桐かたぎり 一葉ひとはは、

新しい職場に困惑していた。


地元・山形の旧県庁舎「文翔館」。

レンガ造りの重厚な外観に、細部まで彫り込まれた装飾。

イギリス近世復興様式のその建物は、映画やドラマのロケ地にも使われ、

地元ではすっかり“映えスポット”として知られている。


観光パンフレットの表紙にもなる、あの建物。

——そのはずだった。


配属先は、

その建物の……観光案内をしているフロアの……さらに奥。

来館者の足音が遠のく細い廊下を抜けた先にある、

まるで倉庫の延長みたいな、狭い個室だった。


転属先が文翔館だと聞いたとき、

私はちょっとだけ、いや、だいぶ浮かれていた。


しまむらで妹と時間をかけて選びに選び抜いた、

ブラウスとパンツとカーディガン。

以前ハマっていたアニメのキャラクター限定モデル、

ボストン型フレームのメガネには、

特注で度の強いレンズを入れてある。


キラキラした“歴史ある職場ライフ”を、

ほんの少しだけ想像していたのだ。


メガネを掛け直して、

一葉は小さくため息をつく。


……思ってたのと、違う。


ドアにかかったプレートには、

「山形県 総務部付属資料管理室(文化財・特殊記録担当)」

と書かれていた。


中にいるのは、

年配で、気難しそうな人たちばかり。

コミュニケーション難易度が高難易度そう。

蛍光灯の光が弱く、

部屋全体がいつも薄暗い。


入って最初にやらされた仕事は、

よくわからない表計算ソフトへの数字の入力だけだった。


定時で上がれるのはうれしいし、

職場の“外観”は正直、かなり気に入っている。

施設内にはおしゃれなカフェもある。


でも、

自分の部署は、そういう華やかな場所とは、

一切つながっていない。


たまに、

レトロモダンな廊下で結婚式の前撮りを眺めたり、

暇つぶしに館内をうろついて、

インバウンドで来日している観光客に話しかけられ、

つたない英語で切り抜けたりする。


優しそうな警備員のおじいちゃん、

石原さんと雑談するのが、

いつの間にか日課になっていた。


この時の一葉は、


来館者向けの建物の案内図。

自分の部署があるブロックだけ、

案内図に載っていない事を、


さして重要視していなかった。

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