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超板金 山形ロボ ―ロボットがランドマークになった街で、怪異が目を覚ます―  作者: bobson3b


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057 2026年4月28日(火)_02 山形ロボ、緊急分解整備

早朝、文翔館地下ドック


鎌田と早川を中心に、整備班が散開する。

クレーンが低く唸り、山形ロボの損傷部位が、ゆっくりと台に載せられる。


徐々にフレームのみになる山形ロボ。


交換可能なモジュールは、随時、切り離し。

装甲ユニット。

関節フレーム。

外部センサー群。


右腕の損傷がひどい、高トルク電動モーターは黒く焦げ、

タービンの羽根はボロボロであった。


外されたパーツは、壁際のラックに並べられていく。

放置されているそれらの表面では、すでにマイクロカプセル層が反応し、

細い白い筋が、ゆっくりと“塞がって”いく。


鎌田が、タブレットを見ながら言う。


「娘さん……一葉ちゃん、無事でよかった」


早川が、コクピット側を泣きそうな顔で見つめる。


「……」


鎌田は、腹部装甲の損傷痕を指で示す。


「ここ、見ろ。

あと数センチずれてたら、コクピット外殻を掠ってた」


工具を置き、鼻で息を吐く。


「ありゃ、操縦者が無意識に回避姿勢を入れてるクチだな。

動きを読んでフレームを捻って、致命傷をさけている」


一拍。


「……しかし、自己修復の“可逆領域”で収まってくれて助かった」


古い記録を呼び出す。

モニターに、1999年の損傷ログが映る。


「あの時みたいに、因果固定の傷だったら、

正直、手の打ちようがなかった」


気を取り直した早川が、外した装甲ユニットを持ってくる。

表面に、かつての亀裂の痕跡。


「それなんですが……

交換作業中に、気づいたんです。ここ」


鎌田が覗き込む。


「……なんだ?」


早川は、ログを並べる。


「26年前の記録だと、

この位置に自己修復不能の亀裂が残ってます。

ヒヒイロカネ層と高張力鋼の境界で、因果が“構造的否定”された箇所です」


鎌田は、装甲に手を当てる。


「……くっついてるな」


指でなぞる。

継ぎ目が、ない。


「まさか……」


早川は、頷く。


「他の班からも上がってます。青柳にあった時からの定時観測と比較して、

4/21以降、自己修復速度が明らかに上がっている」


タブレットを操作し、グラフを表示する。


「それだけじゃない。

邪神クラスの干渉で“構造的否定”と推測される傷――

それすら、時間経過で巻き戻るように治っている」


鎌田が、低く唸る。


「因果改変の“許容量”が、拡張されてる……」


早川は続ける。


「電装系と配線は、さすがに自己修復の対象外です。

信号経路の断線や論理破綻は、人力で再構成しないと戻らない」


「でも――」


装甲フレームを叩く。


「この辺。

フレーム、外装、ヒヒイロカネ含有層。

ここは、修復速度も、再構成の精度も、段違いに上がってます」


鎌田は、少し黙ってはるか頭上の天井を見上げてから、

口を開いた。

「神化……大沼さんが昔冗談で言ってたな。まさかな。」


「……そうだ、早川。

みんなにも共有しとけ」


整備班の方を見回す。


「電装系、駆動系、近代化、入るぞ」


ざわっと、空気が動く。


「実はな、その辺の作ってたメーカー、本当は掘り返しちゃいけねぇんだがな……

設計図、全部は破棄されてなかった」


タブレットを、机に置く。


「山形ロボはモジュール設計で組まれてる。

規格が合えば、26年分、技術ツリーが進められる構造だ」


早川が、息を飲む。


「……つまり」


鎌田は、にやりと笑う。


「こいつ、

山形の……嬢ちゃんの盾はな、

もっと凄くなるってことだ!」



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