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超板金 山形ロボ ―ロボットがランドマークになった街で、怪異が目を覚ます―  作者: bobson3b


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132 2026年5月17日(日)_01 山形ロボ対山形ロボ

若林の、あの餓えた獣みたいな視線から解放されたのは、翌日の昼過ぎだった。


指令室に、固焼きせんべいを噛み砕く音だけが響く。


バキッ。

ボリッ。


……気まずい。


端末のキー音すら遠慮がちだ。


だが。


朗報。


観測班三人がお土産を買ってきてくれた。


白松がモナカ。しかも陽葵と母の分まで包まれている。


さらに。


児島が買ってきたキルフェボンのタルト。


キルフェボンですよ奥さん。


指令室の空気が一瞬で甘くなる。


若林も、わずかに頬を緩めた。

にっこり案件である。


万事解決。


――そう思っていた時期が、確かにあった。


外付けモニターに、ぬるりとハコ子が現れる。


>いんが に ひっぱられて

>ひとは が かみ にならないように

>やまくら と うきぐも に きたえて もらいます


「なに、スナック感覚で人類最強と人外最強の特濃コンビに私を押し付けるのこのマスコットは」


>あと

>ハコこ は ひとは を ふかく りかい するために

>ネットフリックス と アマゾンプライム と

>でんししょせきレンタルサービス の

>ひとは の アカウントに アクセス します


「おいやめろぉお!!!!!!!!!!

乙女のシークレットだそれはぁ!

みーるーなーぁ!!!!!!!!!!」


次の瞬間。


武田が無言で背後から羽交い締め。


今田が眼鏡を光らせながらスマホを奪取。


槌谷が、なぜか迷いなくパターン入力を解錠。


「おまえら後輩じゃない。敵だ!」


槌谷が優しいほほえみで言う。


「先輩。アカウントのパスワードを教えるか、

それとも吐かせられるか。どちらがよろしいですか?」


「なにその Death or Die!どっちも死じゃないかぁ!」


今田が淡々と。


「先輩。人類の未来のためです。

なぁに、Pixivやとらのあな、DLsiteは教えていただければ見ませんよ?」


「ちきしょう隠れヲタめ!」


ポクポクポク。チーン。


「……ごめんなさい。教えます。ゆるして。」


最後の性癖だけは死守した。

だが職場で癖は暴かれた。


その後。


泣きながら山倉の対G筋トレと護身術。


地獄である。


---


夕方。

少しだけ顔色の戻った浮雲と、シミュレーターへ。


山形ロボ対山形ロボ。


こちらは全天周囲モニター。結界内ならジャンプも可能。

向こうは旧式。ブラウン管遅延あり。


なのに。


掠らない。


>ひとは うごき が たんちょう です


「なら必殺!月山おろし!」


ワンテンポ遅れて浮雲機も発動。

交差する因果凍結の右手。


相殺。


弾かれる。


立て直そうとした瞬間、視界いっぱいに左手の月山おろし。


「ふぁぁ!!!!!!」


=You lose=


「なら今度はこれだ!」


「ハコ子!モード<ウキグモ>起動!」


>Maneuver Support Emulative Overlay:UKIGUMO

>きどう


操作系が変わる。


ジャンプかベタ足しかなかった選択肢に、

ホバリング。脚部変形。細かい推力制御。


ハコ子が癖に合わせて提案を重ねる。

ホバリングを駆使し一葉機の挙動が線から円へ。


「これで互角……あれ?」


>ひとは!


背後。


ぴったりと張り付く浮雲機。


ギャリ!!!


慣性で地面を削り減速。


両腕で月山おろし。

遅れて浮雲機も両腕で月山おろしを起動。


だが、こちらの方が改修型でスペックが上。


位相同期制御でパワーロス42%減。

反動補正65%低減。

精度三倍。


左手を構えて踏み込み。


交差する月山おろし、

パワー差で浮雲機を弾き飛ばす。


「よし!」


「右手が本命!相殺でもチャージで有利!」


だが。


浮雲機は衝撃を利用し一回転。

瞬時に一葉機へ肉薄。


「でも遅い!私の勝ち!」


次の瞬間。


浮雲のわずかに因果凍結の余波の残る右拳が、

一葉の月山おろしのチャージで回転する右腕を掬うように跳ね上げる。


ギャリリリ!!!!!!


安い合成された効果音。

弾かれたのは。


一葉の月山おろし。


「あれ?」


モニターいっぱいに浮雲機の左手の月山おろし。


「なんでやぁ!!!!!!」


=You lose=


浮雲、苦笑。

息を深く吐きながら汗を拭く。


「ふぅーっ。性能差は、戦術差じゃない。まだまだ予測可能だな」


一葉、床に崩れ落ちる。


「理不尽……」


>ひとは

>もっと せいちょう しましょう


ハコ子が静かに告げた。


甘いタルトの香りが、まだ部屋に残っていた。


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