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塔の中の娘
バロールには、古い予言があった。いずれ、己の孫の手にかかって死ぬ、というものであった。
彼はこれを恐れ、一人娘エスニウを塔に閉じ込めた。男を近づけぬためであった。
だが、バロールその人が鍛冶の一族が飼う魔法の牛を奪ったことで、状況は流転する。
牛番をしていたキアンは、これを取り返そうと、女妖精ビローグの力を借りて、塔に忍び込んだ。
エスニウは、彼と結ばれた。生まれたのは、三つ子であった。
バロールはこれを海に沈めるよう命じた。だが、一人だけが、ひそかに救われた。
この子が、のちのルグである。
この物語――予言、塔、キアンとビローグの企て――は、後世に採集された語り継ぎに、特に豊かな形で残っている。より古い文献は、ルグがキアンとエスニウの子であり、エスニウの父がバロールであるという、簡潔な系譜だけを記す。物語の肉付けの多くは、のちの時代に加わったものである。




