銀の腕
島は長く、フィル・ヴォルグの手にあった。
ある年のベルテーンの日、島の西の山々に霧が降りた。霧の中から人影が現れた。トゥアハ・デ・ダナーンである。
彼らは北方の四つの都市の学を修め、四つの宝を携えていた。王を選ぶ石。誰の手にも捉えられぬ槍。必ず敵を斬る剣。尽きぬ食を生む大釜。
両者はモイトゥラの野で戦った。
戦いはトゥアハ・デ・ダナーンの勝利に終わった。ただし、王ヌアダはこの戦いで腕を失った。
身に欠けのある者は王でいられぬ。掟は王をも例外としなかった。ヌアダは腕を失ったその日から、王の座を降りねばならなかった。
医の神ディアン・ケヒトは銀の腕を作り、ヌアダにつけた。銀の腕は指を動かし、剣を握ることができた。だが、それは生身ではなかった。掟はそれを癒えたものとは認めなかった。ヌアダは銀の腕を持つ者として、王のいない席の傍らに立ち続けた。
空いた王位に就いたのはブレスであった。彼の父はフォモールの王であり、母はダナーンの女であった。二つの血を引く彼は、二つの民を結ぶ者になるはずであった。
だが、彼は吝嗇であった。首長たちを労役に駆り立て、宴の席では乳も肉も惜しんだ。詩人カイルプレはその家を訪れ、寒さと飢えの中で夜を明かした。翌朝、彼は最初の諷刺の詩を詠んだ。ブレスの顔は詩の言葉とともに腫れ物に覆われたと伝えられる。
同じ頃、ディアン・ケヒトの子ミアハがヌアダの銀の腕を外し、肉と血の腕をそこに戻した。父はこれを許さなかった。己の技を超える息子を、彼は刃で殺した。
ミアハの墓からは無数の薬草が生えた。それは人の病のすべてに応じる草であった。
ヌアダは王に返り咲いた。ブレスは島を去った。




