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ベン・ブルベンの猪
ディルムッドには、生まれる前から背負ったものがあった。
ある宴の席、アンガスの館ブルー・ナ・ボーニャでのことである。
ディルムッドの父ドンは、家令ロクの子が我が子と同じように歓待されるのを見て嫉妬した。
彼は、誰も見ていない間に家令の子を殺した。
殺した者は、やがて魔法によって明らかになった。
ロクは、ドルイドの力を借りて、死んだ子を、一頭の猪として蘇らせた。
そして猪に、ディルムッドを死に至らしめるという定めを負わせた。
以来、ディルムッドには、猪を狩ってはならぬという禁戒が課せられた。
ある日、フィンはベン・ブルベンでの猪狩りにディルムッドを誘った。
グラーニアは行かないでほしいと願った。
だが、ディルムッドは旧友の誘いを断らなかった。
その猪は、既に三十人の戦士を殺していた。
槍も剣も、その剛毛の一本すら断つことができなかった。
夜明け、猟の一団が山腹に散ったとき、猪は斜面を駆け下り、真っ先にディルムッドへ向かって突き進んだ。
ディルムッドは、黄の槍ガエ・ブイデを投じた。だが刃は、猪の剛毛を断たなかった。
猪が組みついてきたとき、彼はその背にしがみついた。
やがて振り落とされ、腹を裂かれた。
剣ベガルタハを抜いて斬りつけても、刃は立たなかった。
ディルムッドは、剣の柄で猪の頭を打ち砕き、ついにこれを倒した。




