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長い追跡

旅の初め、ディルムッドは彼女に触れなかった。

ぬかるみを渡るとき、跳ねた水がグラーニアの脚にかかった。

彼女は言った。


「あなたは戦場では勇者なのに、この水の一滴のほうが、あなたより大胆ね」


その言葉を受けて、ディルムッドは悟った。

彼はもう、フィアナの戦士としての暮らしには戻れない。元の仲間と再び会うとすれば、それは槍の穂先を挟んでのことになる。


翌朝、眠りから覚めたフィンは、嫉妬に胸を焼かれた。


彼は追跡者を放った。

追跡者の中には、ディルムッドの友も多かった。彼らはシャノン川の浅瀬で、跡を見失ったふりをして時を稼ぎ、警告を送った。


二人は洞窟に眠り、森を渡り、木の上で夜を明かした。夜ごと寝所を変えた。彼らの跡には、石が置かれた。「ディルムッドとグラーニアの寝床」と呼ばれる遺跡が、いまもアイルランド各地に結びつけられている。


養父アンガスは、幾度も二人を助けた。追手の網が狭まるたび、彼はグラーニアを外套の縁に隠し、連れ去った。


デュヴロスの森に、二人は着いた。


そこには、一本の魔法の木があった。かつて、ダナーンとフィアナがハーリングの試合をした折に、ダナーンが落とした一粒の実から育った木という。その実を食べれば病は癒え、酒に酔ったような心地に包まれた。ダナーンは、一つ目の巨人サルヴァーンを遣わして、この木を守らせた。


巨人は、木の梢で夜を過ごし、昼は根元に立った。誰も、近づこうとしなかった。


身籠っていたグラーニアは、その実を欲した。「あの実を口にできぬなら、私はもう、寝床に身を横たえない」


ディルムッドは、巨人のもとへ行き、実を分けてほしいと頼んだ。サルヴァーンは、拒んだ。


ディルムッドは、不意打ちを避け正面から挑んだ。巨人は魔法に守られ、武器も、火も、水も、彼を傷つけられなかった。ただ一つ、己の鉄の棍棒で三度打たれたときにのみ死ぬ、という予言を負っていた。


ディルムッドは、武器を投げ捨て、巨人に組みついた。彼は、巨人の鉄の棍棒を両手で奪い、三度打った。巨人は、倒れた。


グラーニアは、木の実を口にした。


その木の下に、やがてフィンの一行が着いた。フィンは、二人が枝の上に隠れているのを知っていた。彼は木の下に盤を据え、オシーンとフィヒェルを打ち始めた。


フィヒェルの名手であったディルムッドは、上からその盤を見下ろしていた。耐えきれず、彼は木の実を投げ、オシーンに手を教えた。フィンは敗れた。


怒ったフィンが木の上を振り仰いだとき、オスカルが剣を抜いて前に立った。

フィンは、その場を退いた。


追跡は、十六年に及んだ。


やがて、養父アンガスが上王コーマックとフィンの間に立ち、和解が成立した。

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