前へ目次 次へ 21/36 ドン・クーリンゲとフィンベナッハ 戦の発端となった二頭の牛も、ついに相まみえた。 アリルの所有するフィンベナッハと、アルスターのクーリー地方の名牛ドン・クーリンゲである。 人が起こした争いの輪郭が、獣の世界にまで広がった。二頭は角を交え、フィンベナッハは倒された。 だが、ドン・クーリンゲもまた深く傷つき、故郷への帰路で息絶えた、と伝えられる。 牛をめぐって始まった戦は、多くの悲劇を生み出し、ついに牛そのものの死とともに、一つの区切りを迎えた。