19/36
マハの呪い
メイヴの軍勢が進んでも、アルスターの戦士たちは戦える状態になかった。
彼らを縛っていたのは、古い呪いであった。
その始まりは、こう語られる。裕福なアルスター人クルンニュクのもとへ、ある日、一人の女マハが現れた。彼女は、クルンニュクの妻となった。
ある宴の日、王の馬の速さが称えられた。クルンニュクは、つい口を滑らせた。
「私の妻なら、あの馬より速く走れる」
言葉は、王の耳に入った。身重であったマハは、王の馬との競走を強いられた。
マハは走った。腹には子を宿していた。それでも、王の命からは逃れられなかった。彼女は、馬に勝った。競走の終わりに、彼女は男児と女児を産んだ。
苦しみの中で、マハはアルスターの男たちに呪いを宣言した。「お前たちが、最も助けを必要とするとき、女が産みの苦しみを受けるのと同じ苦しみを、お前たちも受けるだろう」
この呪いは、九代にわたって続いたという。
だが、この呪いから逃れる者が、三者いた。アルスターの若者、女たち、そしてクー・フリンである。なぜ彼だけが例外なのか、伝えは一つの理由を示さない。若さゆえか、かつて邪眼の巨人を討ったあの神、ルグの血を引くゆえか。理由を一つに決めることは、慎むべきであろう。
理由がどうあれ、事実は一つであった。
アルスターの命運は、この若者ひとりに委ねられた。




