ミレーの子ら
やがて海の南から船団が来た。
イベリアから来たミール・エスパーネの子らである。
彼らは詩人アマルギンを連れていた。上陸の折、アマルギンは波と風と鷹と鮭とを己の名として詠んだ。詩の力が荒れる海を鎮めたと伝えられる。
島の三人の女神はそれぞれ己の名を島に与えるよう求めた。中でもエーリウの名が、のちにこの島の名となった。
トゥアハ・デ・ダナーンは戦った。しかしミレーの子らの勢いを止めることはできなかった。彼らは敗れ、島を明け渡した。
彼らは、去ったのではない。丘の下に、退いたのである。
ダグダはそれぞれの神にそれぞれの丘を割り当てた。アンガスはボインの畔のブルー・ナ・ボーニャを得た。それは父の家であったが、彼はただ一昼夜のあいだだけ借りると言って、そのまま永久に手にしたという。昼と夜の連なりが時のすべてであるからだ。
アンガス自身の生まれも、同じ理屈を帯びていた。母ボアンは、川の主エルクマルの妻であった。ダグダはエルクマルを、一日だけの使いに出した。その隙に、彼は太陽の歩みを止め、一日を幾月分もの長さに変えたという。エルクマルが戻ったとき、彼は何も気づかなかった。彼の知らぬ間に、ボアンは子を産み終えていたのである。
ミレーの子らは島の地上を治めた。エーベル・フィンとエーレモンが島を分けて王となった。
そして地の下では、神々がいまも息づいている。丘の夜、ときおり風が変わるのは、その者たちが眠りの中で寝返りを打つからであると、古い者たちは語る。




