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罪を被った僕が煉獄刑の果てに見るものは  作者: 津本ジオ


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30/31

30. エヴェラント中枢区画へ

そのあと、湖沼(こしょう)地帯、山岳地帯を見学し、自然保護区の視察を終えてコテージに戻った。

「どう? 少ししか見せられなかったけど、興味がある場所があったら次回案内するわよ」

アタラちゃんが広報用の映像を見せてくれた。

氷の渓谷を悠然と歩くネコ科の動物や、砂漠に住む巨大な爬虫類、まるでドラゴンのようだ。

他にも大海原を泳ぐ巨大な魚や、氷原の飛べない鳥類……行政長官のエラリーちゃんによく似た大きなペンギンもいた。

正直、どれも興味深い。


「うーん、全部見てみたい」

「そう言うと思ったわ。次の長期休暇のときに見て回りましょう」

「お願い。このあとは中枢区画で一泊?」

「そうなるわ。まあ、宿泊施設は期待しないでね? 軍の管轄だから将校用の個室よ」

「気を遣わずに済むから平気だよ。アタラちゃんと一緒じゃないのが辛いけど」

「じゃ、一緒に泊まっちゃう? 狭いと思うけど」

「おー、緩い軍隊だな。泊まる泊まる」

二人でエレベーターの到着を待つ。


「こんばんは。自然保護区はいかがでしたか?」

エレベーターが到着してキャビンの扉が開くと、ベルスタッフの鳥の人があいさつしてくれた。

「こんばんは。最高だったよ。そういえば名前を聞いてなかったね。僕はフラッシュ、こっちはアタラちゃん」

「お二人のことは存じ上げております。私は、リリー族のハッテラと申します」

「ハッテラさん、ずっと付き合ってくれてありがとう」

「いえいえ、大変名誉なお役目ですので、競争率がすごかったんですよ」

話しかけてみると意外とフレンドリーな人だった。

キャビンが降下を始める。


「僕はエヴェラントのことを全然知らなくてね。失礼じゃなければ聞きたいことがあるんだけど」

これは聞くしかない。

「答えられることなら何でも」

「実は出会う住民の性別の区別がつかなくて……」

「ああ、そういうことですか。私の種族は両性具有ですよ」

「何と。声でも区別がつかないわけだ」

「ここでもかなり珍しい種族だと思います」

まさかの両性具有だった……。


「フラッシュったらずっと考え込んでいたのよ」

「アタラ大佐はリリー族のことをご存じだと思いますが」

「ええ、もちろん知ってるわ」

「えー、知ってるなら教えてよ」

「自分で聞く機会を奪ったら悪いじゃないの」

アタラちゃんがくすくす笑う。


メタリックなシャフトを抜け夜空が広がった。見上げると雲に隠されて天蓋迎賓館は見えない。外からは見えないようになっているのか。

眼下にはイルミネーションに彩られた市街地。中央には僕たちが最初にエレベーターに乗ったホテルが見える。

「ホテルには停止せずに、そのまま中枢区画まで降ります」

ベルスタッフのハッテラさんが言う。


やがて、ホテルの中央に吸い込まれ、透明シャフト区間が終わった。

「今、ホテルを通過いたしました」

キャビンの透明壁がモニターに変わり、戦略遊星エヴェラントの概略図が表示される。

「こうして見ると、自然保護区と居住区を合わせても薄い膜みたいなものだね」

「そうね、その二つがエヴェラントにとって重要な施設なのは確かだけど、これから行く中枢区画こそが本質なのよ」


「このエレベーターで最下層まで降りますが、そこからは高速移動ポッドを使ってください」

「中枢区画は機密区画でもあるのよ。特別な許可がなければ立ち入りができないの」

「僕にも許可が下りたの?」

「ええ、私も初めて行くことになるわね。壬皇近侍(じんこうきんじ)閣下の計らいで実現したのよ」

「キンジがねえ……」

「あなたに見てもらわなければならないものがあると言っていたわ」


何だろう。キンジのくせに思わせぶりだ……。


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