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罪を被った僕が煉獄刑の果てに見るものは  作者: 津本ジオ


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23/30

23.エヴェラント探訪 2

発着場でのハプニング(未遂)はあったものの、アタラちゃんと一緒に居住区に向かう。

見せてもらおうか、戦略遊星エヴェラントの居住区とやらを。

大型移動ポッドに乗って居住区階層に降りていく。

透明なポッド越しに、メタリックなシャフト内壁を、ぼんやり眺めていると、いきなり大空に放り出された。

「うおっ!」

「びっくりしたでしょう。ここからは透明シャフトになっているのよ。少し速度を落とすわね」

「これは驚いた。何で地下に空があるの? 雲も浮かんでるし!」


「ここはエヴェラントの自然保護区よ。惑星地表を再現してるの。0.18G環境で対流圏を維持するには、最低でも五十キロメートルの厚みが必要になるのよ」

スカイブルーの青空からライトブルーに変化していく。エアロゾル層に入ったようだ。ミー散乱により白っぽく霞(かす)んでいる。

「あれは?」

上を見上げると青白い恒星が浮かんでいる。眩しさに目を細めながら指さす。

「人工恒星アレイね。天蓋(てんがい)にはたくさんの人工恒星が配置されているわ」

「スケールがぶっ飛んでんなー」


「薄っすらと山脈が見えるでしょう? あれで生態系を仕切っているのよ。五十以上の星系から集められたものなの」

「こんな低重力で大丈夫なの? 高重力環境出身の生物もいるんでしょ?」

「ここは知的種族の居住区じゃないからね。種族間の軋轢(あつれき)も関係ないわよ。隔離された高Gエリアもたくさんあるわよ」

「すげーな、ここ。気圧差で天候が大荒れになりそうだけど……」

「そこは人工知性の腕の見せ所ね。変動重力下での気象制御に、一家言(いっかげん)を持ってる人工知性もいるわよ」

「何か壬皇(じんこう)並みに濃そう……」

「あはは、ベクトルは違うけど、相当なものよ。会ってみる?」

アタラちゃんが笑いながら言う。

「遠慮しとく……」


そんな会話をしながらも、移動ポッドは降りていく。

高度表示は五百メートルと出ている。地表の様子がよく見える。

ガゼルっぽい動物の大群が草原を駆けていく。何とも雄大な風景だ。

「これで自然の風景は一旦おしまい。自然保護区の体験ツアーも予定に入れてるわ。ひとまず居住区に入るわよ」

景色が味気ないシャフト内壁に変わってしばらくすると、軽やかなチャイムが響く。

「ついたわ。降りましょう」

アタラちゃんの言葉に移動ポッドから出ると、そこは空港のロビーのような場所だった。


目の前に大きなペンギンのぬいぐるみが置いてある。ご当地キャラだろうか?

「フォリナー・フラッシュ、中枢直衛軍アタラ大佐。ようこそ、エヴェラント居住区へ」

「ぬいぐるみが喋った!」

「違うわよ、フラッシュ。こんにちは、エラリー」

「こんにちは、アタラちゃん。元気にしてた?」

柔らかで温かみのある女性の声。ベルベットボイスっていうんだっけ。

「エラリーさん?」

この巨大ペンギンはエラリーさんというらしい。アタラちゃんと仲がいいようだ。

「はい。初めましてフォリナー・フラッシュ。エヴェラント居住区の行政長官を務めています」


って、大物じゃん!

「行政長官って偉い人なんじゃ?」

アタラちゃんに小声で尋ねる。

「居住区のトップね……」

小声で返事が返ってくる。

「ご丁寧なごあいさつ、痛み入ります。フラッシュ・バーンズと申します。今後ともよろしくお願いいたします」

お偉いさんにはへ(・)り(・)く(・)だ(・)る(・)。これが僕の処世術だ! なお、壬皇(じんこう)とキンジは除く。


「かしこまらないでください。私なんて、ただの調整役ですよ」

「そうよ、フラッシュ。エラリーは気さくな人よ。気楽に話してね」

「それじゃ、エラリーちゃん。僕のことはフラッシュって呼んでね!」

「軽い……」

ペンギンが絶句している。

気楽過ぎたか……。

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