15. 隣接次元の謎
見間違うはずがない。アレは猫の耳だ。
正直に言おう。僕は獣人が好きだ。獣7に対して人3のケモ度が至高だ。特に猫獣人。アレはいいものだ。
太陽系を襲った激震、シミラ人とのファーストコンタクトで判明したのは、銀河系にはさまざまな種族が存在しているということだ。
大木にしか見えない、バウル人の映像が公開されたときには衝撃が走った。
その後、シミラ人の公式名称を決めるに当たって、similarと命名されたのも当然かもしれない。
地球人に酷似している種族など、シミラ人くらいなものらしい。
これなら、猫獣人がいてもおかしくないと胸を躍らせたものだ。
故郷から転移して、第八次元にたどりついた僕の前に、ついに猫獣人が現れたのだ。
「第七次元からの稀人、フラッシュ・バーンズを紹介するわ」
キンジがみんなに僕を紹介してくれた。
「フラッシュ・バーンズだ。フラッシュと呼んでくれ」
中隊長たちが着席したまま一斉に敬礼する。
肘を直角に曲げて右手を上げる敬礼か。ハシビロコウだけは斜め上に翼を上げる。人間とは構造が違うもんな。
「一人ずつ起立して自己紹介しなさい」
アタラ大佐が言う。
「はっ、では私から。指向性エネルギー兵器中隊を指揮するレイント大尉であります」
猫獣人が立ち上がった!
シャルトリューに似た、ブルーグレーの毛並みの猫だ。身長は百八十センチメートルの僕より、二十センチメートルほど低い。
そして、獣9:人1……。直立二足歩行する猫だった。違う、こんなの猫獣人じゃない!!
内心の動揺を意思の力でねじ伏せ、顔に出さないように努力する。
「あ、ああ、レイント大尉。今度ともよろしく」
レイント大尉は悪くない。勝手に妄想を膨らませていた僕の業が悪いのだ……。
「次は私です。実体弾投射中隊、リンドル大尉です」
手足付きのイルカが立ち上がる。水が無いところでも平気なんだな。背が高い。二メートルを超えている。そして長い手足がちょっとキモい。
セガンタをミサイルで防衛していると聞いたが、部隊名を聞く限りレールガンとかもありそうだな。
「リンドル大尉、よろしく頼む」
「戦艦部隊の指揮官、ライアス大尉ですわ」
サイ男かと思っていたが、サイ女だった件。しかも、うっとりするような美声。体はデカいが身長はそうでもない。立ち上がると僕と同じくらいか。短足なんだな。
戦闘機同様、第七次元の干渉が強い宙域では、人工知性が使えないため戦艦は出撃できない。
今回のアノマリー・シックスのような、高速高機動な相手は無理だろうが、普段はどのような戦い方をしているのだろうか。
「ライアス大尉、よろしくね」
「私はファリア大尉、戦闘機部隊の指揮官です」
見た感じ、まんまハシビロコウだが、よくよく見ると翼の先端が手のような形になっている。美しい模様に彩られた翼だ。身長は百五十センチくらいか。
戦闘機乗りの隊長……。ハシビロコウって普段は動かないけれど、爆発的な瞬発力を持っているんだよな。
加速度耐性を手に入れたら活躍しそう。
「ファリア大尉、お手柔らかに」
こいつ眼光が異様に鋭い。下手に出とこう……。
「アタラちゃん指揮下の中隊が四つ。これで一通り紹介が終わったわね。フラッシュ、何かある?」
「そうだな、一つだけ聞いていいか? ここにはさまざまな種族がいるが、僕のいた第七次元に同じような生き物がいるんだよ。何で?」
「そう……。まだ話していなかったわね。隣接次元のナンバーは、あたしたちの第八次元からの「近さ」で決めたものなのよ」
「近さ?」
「うん。概念的にも物質的にも。第七次元はすごく似てるの。親和性が高いと言い換えてもいい」
「この場で聞くことじゃないかもだが、隣接次元って結局のところ何だろう?」
「はっ、それを解き明かすために侵略者と戦うのが我々の任務です」
ファリア大尉が答える。目力が強くてビビる。




