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■ ゼロ転生 ~ こぼれ話 ~  作者: もののめ明


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名前の由来

新章(成長期編)開始記念

「ミチルって……どなたですか?」

 ある日、リーゼッテが真面目な顔をして尋ねてきた。

 私は意味が分からなくて「は?」と問い返す。

「どなたって……あの青い魔鳥だが」

「もちろん、そ、それは知っています」

 では、どういう意味だろう。

 首を捻っていると、リーゼッテはずずっとこちらに近寄った。

「よほど、お、思い入れのある名前なんですよね?だって社長がわざわざ鳥に付けるんですもの。ま、まさか、恋人……ですか?」

「はあっ?!」

 今度は、さっきより大きな声で返してしまった。

 恋人?

 ミチルが?

「何を言っている。青い鳥といえば、チルチルミチルだろう。まあ、結局は人名だが、由来はそっちの方だ」

「チルチル……ミチルゥ?」

 まさに鳩が豆鉄砲を食らった顔で、リーゼッテが呟いた。

「え?知らないのか?メーテルリンクの青い鳥」

「メ、メーテルリンク??え、えと、な、なんの話をしているんですか?」

 ちょっと待ってくれ。

 有名な話だと思っていたが、知らないのか?

 私はリーゼッテに、メーテルリンクの青い鳥の話をした。リーゼッテは、まったく知らないとのことだった。

 うーん……だからミチルという名を聞いて恋人だと思ったのか。

「ん?では、前に秘書子が私のことを前世の記憶持ちでは?と疑っていたとき、ミチルの名は日本人名だと思っていたのか?」

「そ、そうですよ。だって、ふ、普通はそう思うじゃないですか。アスワドは、なんか聞いた覚えがあるんですけど……ど、どういう意味ですか?あと、アスラさまも」

 思わず、がっくりした。

 つまり、ほとんど分かってなかったってことじゃないか。

「アスワドは、アラビア語で黒という意味だ。アスラはインド神話で鬼神のことだな。仏教に取り入れられ、阿修羅となった」

「へーえ!……ていうか、しゃ、社長、ネーミングセンスないですねー」

「ほっとけ」

 無いのが分かっているから、あちこちから取っているんだよ。いいじゃないか。

 すると、リーゼッテはふいに声をひそめて、そっと私に囁いた。

「で、でも、アスラさまには名前の由来は、ひ、秘密にしておいた方がいいですね」

「何故だ?」

「澄んだ響きの、よ、良い名だろう!と自慢されていたので……」

 そうか。

 鬼神は間違っていないと思うが……もしかすると気を悪くするかも知れないな。

 うーん、そのまんまのサタンやデビルにしようと一瞬思ったことは、リーゼッテにも内緒にしておこう。その名にしなかっただけ、かなりマシなんだけどなぁ。

「……ああ、そうか!白雪姫にしておけば良かった」

「ええー、そ、それはちょっと、ムリがありすぎます」

「そうだよな。毒林檎を食べても平気そうだし。いや、美食家だから、そもそも食べないか?」

「あと、お、王子さまがキスしようとしたら、その前に飛び起きて、この不埒者が!って、お、怒りますよ」

 確かに。王子、殺されるかも知れん。

「どちらかといえば、毒林檎を持っていく継母の方だな……」

「ですねぇ」

 私とリーゼッテは、こっそり顔を見合わせて小さく笑った―――。

>2024年11月08日活動報告より

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