主殿の生態記録2(アスラ視点)
1万pt御礼SS
先日、主殿がニコニコと古い木の盆を持って帰ってきた。
『……何に使うのじゃ?』
「アスラは関係ないよ」
む。
妾に関係なくとも、何に使うかくらい教えてくれても良いではないか。秘密にされると、余計に気になる……。
そして翌朝。
主殿はその盆を持ってじょぎんぐへ。
盆を持って?
これは、後をつけねばなるまい。
―――主殿と犬っころは、街の近くを流れる川の方へ行く。妾は気付かれぬよう、いつもより小さめの姿になって後を追う。
ただ小さいと、超高速で足を動かさないと主殿について行けないので、かなり大変である。妾は走るのが嫌いなのに、これでは超全力疾走をしなければならない。こ、これは……普段の倍以上、疲れるぞえ。
うう、鳥に変身して上空から追いかければ良かったのう。いや、勘の鋭い主殿には気付かれるか……?
そうか。
豆粒ほどの大きさになって、犬っころにしがみついておけば良かった! 次はそうしよう。
さて、川辺の広い砂地で主殿は足を止めた。そして、犬っころに何か話しかけている。
あ!!
頭を撫でた!
くっ、主殿は犬っころに優しすぎる。妾はなかなか撫でてくれぬのに。何故じゃ。
……ついで、主殿は盆を持った腕を大きく後ろに引いた。そして勢いよく盆を投げ飛ばす。
綺麗な弧を描いて盆は宙を飛び、それを犬っころが追いかける。
犬っころは盆が地面に落ちる前に追いつき、飛び上がって口に盆を咥えた。
「いいぞ、アスワド!いい子だ!」
主殿の楽しそうな声が聞こえた。
~~~っ!
な、な、納得がゆかぬ! ただ盆を追いかけるだけで、何故、犬っころは褒められるのじゃあ!! 妾なら、妾ならもっと優雅に、もっと可愛く、盆を追いかけてみせるのに!
その夜。
妾はこっそり盆を処分しておいた。
ふふん。
犬とフリスビーするのが夢だったリン。
馬鹿にしている犬っころと張り合っている状況に気付いていないアスラ……。
(アスラはどうしてもアスワドと呼ぶのがイヤ)
>2024年03月29日活動報告より




