得難い人材(ガフ視点)
ニアムの街で、狩人を始めた頃の短い話
「砥ぎ方を教えてくれ」
人間族の生意気そうなガキがある日、店を訪れるなりそう言った。
オレは鼻を鳴らして答えた。
「フザけるな。そんなことをしたら、オレの商売が上がったりだ」
剣の砥ぎを依頼してくるヤツはそんなに多くないが、ドワーフの砥ぎ技術はそれなりに定評がある。おいそれと教えるワケにはいかない。
すると、ガキは「ふむ」と首を傾げた。
「確かにそうだな。……じゃあ、金を払ったらいいか?それとも砥ぎ数回分の労働力を提供した方がいいか?初めての短剣だから大事に使いたいんだ。狩りに出ている間は自分で手入れしなきゃならない。なるべく良い手入れをするために、失礼とは思うがぜひ、教えて欲しい」
ちょっと驚いた。
こんなチビガキが狩りに行くということも、短剣をそれほど大事に扱おうとしていることも。
興味が湧いたので、ガキの頼みを聞いてやることにした。
……そしてそのガキが、今までの雇ってもすぐに逃げ出すボンクラ達と違って、恐ろしく優秀で得難い才能の持ち主だと気付くのに、さほど時間は掛からなかった。
狩人を辞めて、オレんとこに弟子入りしねぇかなあ。
コイツになら、オレの持つ全技能を教え込んでもいいんだが。
>2023年04月28日活動報告より
夕方に、もう一話上げる予定です。




