社葬にて
リンの前世(その後?)の短い話です
×××コーポレーションでは本日、前社長の社葬が行われていた。
前社長の交友関係は広かったので、主だった企業の社長やCEO、芸能人、スポーツ選手、果ては海外からも弔問客が訪れている。
広い会場を埋め尽くす喪服の集団を見ながら、経理部の部長が重い溜息をついた。
「社長……まだ50前だったのに、自分に何かあったときのためにって後継者やら何やら、ちゃんと全部決めてあったなんて、まるで死ぬのを予知してみたいじゃんか……」
「そうよね……。どんなこともきっちりしている方だったけど、そこまで考えていたなんて。ねえ、誰よ、社長のこと“女信長”なんてあだ名つけたの。信長みたいに49で死ぬし、遺体も残らないし……」
広報部の部長も鼻をすすりながら目尻をハンカチで押さえる。
この会社は前社長一代の力で大きくなった会社だ。
少々ワンマン気味の社長だったが、年齢も男女も経験も問わず、純粋に向き不向きで仕事を割り振り、厳しくも公平で才能あふれる人だった。“女信長”と称されてはいたものの、誰も“本能寺の変”のような謀反を起こす気はなく、社員一丸、盲目的に社長に付いていったものである。
革新的で行動力のあったその彼女がいなくなった今。
会社は大きな岐路に立たされることになるだろう。
「でも、なんだろな~、社長は天国へ行っても地獄へ行っても、そのまんま自由に楽しんでいそうな気がする……悪魔だって平気で叱り飛ばしそうだ」
総務部の部長が上を見上げて呟く。
営業部の部長が頷いた。
「うんうん。流行りの異世界転生なんてあったら、ただの村民に生まれても“0からのスタートも悪くない”って言い切って一国征服するかも」
「う~わ~、そんな異世界転生だったら、俺、社長に付いて行きたいわ……」
大方の社員の予想通り。
(前)社長は困難に見舞われつつも、現在、異世界を満喫中である―――。
※ 信長、数え年だと享年49歳。でも満年齢だと、47歳とか……?
>2023年04月12日活動報告より




