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■ ゼロ転生 ~ こぼれ話 ~  作者: もののめ明


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もしもアスラが猫じゃなかったら?( IF話 )

エピソード139 『学園長との話、そして次の予定は』に絡めた、IFの話

 ちょっとした伝手で、たまたまテネブラエの砂が手に入った。

 せっかくである。私はアスラの形代をこっそり作り直すことにしてみた―――。


「か、か、かわいいぃぃぃ……!」

 新たなアスラを見るなり、リーゼッテが両手を合わせて感動したように叫ぶ。

「めっっっちゃ、かわいいです、アスラさま!」

『……うるさいぞ、モシャ娘。前より耳が良く聞こえるゆえ、そんな風に叫ばれると耳が痛いわ!』

「も、申し訳ありません」

 アスラが何を言ったか、リーゼッテには分からなかったはずだが……赤い目が剣呑な光を放って睨んだからだろう、彼女は反射的に謝罪の言葉を口にし、頭を何度も下げた。

 了承を取らず勝手に入れ替えをしたため、アスラは憮然としていたものの、「カワイイ」を連呼されたおかげでちょっと機嫌が良くなった。

 よしよし。

 頑張って作った甲斐があったものである。

『少し動きにくいのう』と文句を言いつつも、アスラはひょいと後ろ足で立ち上がった。

 つぶらな赤い瞳が私に向けられる。

『可愛いかえ、主殿』

「ああ。……可愛い」

 やばい。本当に……可愛い。

 真っ白な兎は嬉しそうに目を細め、器用に耳を搔いた。


 夜。

 私のベッドの上にいつの間にか現れたアスラが、ちょんと私の体に触れた。

「どうした、アスラ」

『今夜は一緒に寝ても良いか?』

「……まあ、別に構わないが」

 どういう風の吹き回しだろう?

 首を傾げていたら、アスラも首を傾げて私を見上げた。

『なんだか一人だと淋しいのじゃ』

「……!」

 こ、これはもしや、兎になった影響か?!

 すりすりと体を寄せられては……断れるはずもない……。


 ―――その後。

 毎夜、アスラは私のベッドで眠るようになった。おかげで私は寝不足気味である。

 あまりにぴったりと小さなアスラがくっつくので、下手に寝返りが打てないのだ。

 5日目、とうとう私は決断した。

「アスラ。今夜からは、もう添い寝しない」

『な、何故じゃ!?』

「私は一人の方が安眠できる」

『ひ、ひどい……』

 白い兎はしゅんと耳を垂れた。そして、悲しそうに私を見上げる。

 くっ。

 そんな目で見るな……!

 まるで私が極悪人みたいじゃないか。

『昼間、一人で淋しいのは我慢しているのじゃ。夜くらいは、一緒にいてくれても良いではないか……』

「……い、いや、駄目だ」

『妾、淋しくて死んでしまう……』

 …………っ!

 う、兎にするんじゃなかった!


 結局。

 それからしばらくの間、アスワドがアスラの添い寝番を務めた。

 意外とアスワドもこの仕事(?)には乗り気のようである。どうやら最初に兎のアスラを見たときから、可愛いと思っていたフシがあるのだ。

 昔は兎を狩って食べていたというのに……。まあ、魔物系の兎だが。

 なおアスワドが添い寝を代わってくれている間に、私は必死でテネブラエの砂を探した。再び、アスラを猫に戻さねばならない。

 あの勝手気ままな猫のアスラの方が、私も付き合いやすいとよく分かった。兎の幼気な姿で、淋しい淋しいと四六時中付き纏われたら……ある意味、拷問だ!

ちなみに、ミチルは可愛いアスラに嫉妬中……(ミチルは、リンの従魔の中で自分は"可愛い枠"と思っているので)


>2025年10月31日活動報告より

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