↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輪廻回廊369  作者: ヴァネット卿
第二部 第四章 解脱

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
89/117

第89話 ゆうなと戦争の結末

「ちょっと待って!核が地下を崩壊させただけならなんで戦争は終わったの?」


「表面で爆発したのもあるわよ。


ヴァルハラは壊滅したわ。


戦闘機は爆発した瞬間に全機墜落したのよ」


「撃つグングニルの数を減らすとかじゃダメだったの?


首都ヴァルハラだけ陥落させれば良かったんじゃ」


「駐屯所や砦は至る所にあったからね。


私達の目的が敵の全戦力を奪うことだとしたら、

あの時の選択は正しかったと思ってるわ」


「だよね。確認しただけ。

後悔する理由があるのかと思って。


じゃあさ。とりあえずヴァルハラの方に行ってみない?」


「え?なぜ?」


「敵国見ても無いんでしょ?戦争の後を見に行こうよ。


運動不足は思考を鈍らせるとも言うしさ。


とにかく動いていろいろ見たり聞いたりしてみようよ」


モモカさんは大きくため息をついたが、了承した。


「そうね。わかったわ。どうせここに居てもやることはないからね」



「俺達って、

樽の中で目が覚めたってことは俺達の器の人も生き残りなんだよね?きっと」


「あなた達がどの樽から出てきたのかわからないから誰なのかはわからないわ」


「あ~そっか。


樽って管理してないの?誰が入ってるとか」


「特にしてないわね。問題になることないから」


「それで配達とか出来てるの凄いよね」


「配達員は百五十倍の資格に合格したエリートたちよ。


大切な食料の配達だからね。


樽に入らなくても心配いらないぐらいのお給料も出してるわ」


「へ~人気職業とかはあるんだね。みんな樽以外興味ないのかと思ってた」


「樽に入る人の家族とかには介護士とか子供の世話する人とかいるでしょ?


そのあたりは給料も高いし人気職なのよ。


保育士さんなんて、

一年のうち一か月ぐらい働けば生きていけるから、

順番に働く感じでたくさんいるわね」


「経済的には豊かなんだね?」


「お金持ちがみんな樽に入る時に全財産を寄付するからね。


でも、樽って食料運ぶとか、空調とか水ぐらいしかお金かかるところないから」


私はあの食事を思い出して、吐きそうになって舌を出した。


「食事もあれなら、お金かかってないよね」


「あれはね。そうなのよ。

あんまりだと思うんだけど、文句も出ないし良いかと思って」


「あれで文句言わないのってやっぱり苦行だよね…


あ、あのあたりがヴァルハラ?」


瓦礫の山を見つけたはるま君が走り出した。


「そうだけど、あぶないわよ~。


放射能の影響もあるかもしれないし、あまりはしゃがないようにね」


「はーい!」


はるま君が楽しそうに見える。


不謹慎じゃないかな?と思いモモカさんを見るが、

モモカさんも少し笑っていて安心した。



「何もないね」


「そうね。流石は彼が設計したグングニル、全てを消し飛ばしたのね」


「その人って研究者とかだったの?」


「アイデアマンって感じかなあ。


人から仕組みとか聞くと、こうしたら良いんじゃね?って、

結構革新的な所に踏み込んでアイデア出せるのよ。


あれは真似出来ないわ」


「発明家みたいな感じかな」


「そうかもしれないわね。


中途半端な知識で言うから的外れなことも言うんだけどね。


軌道修正がうまいって言うか。

コツをつかむのが早いと言うか。


とにかく凄い人って表現が一番しっくりくるわ」



「ね~!」


はるま君が遠くで叫んでる。


「どうしたの~?」


「これ…なんだろ…」



私達ははるま君の所に駆け寄った。


それを見たモモカさんが膝から崩れ落ちた。


「なぜこんな所に…」


「これって…もしかしてシェルター?」


「そうよ。エインヘリャル七号機、十二基あったうちの一基よ」


「これって、でも爆弾が貫通した感じじゃないよ?」


「まさか!」


モモカさんが走った。


エインヘリャルの周りを走る。


「どこにも傷が無い…


もしかして…


入り口!入り口を探して!


どこだったかな。思い出せない」


「モモカさん落ち着いて、落ち着いて考えよう」


「落ち着いてられないわよ!」


それを聞いた私は大きな声で制止する。


「駄目!


こういう時こそ落ち着かないと、

今度こそ取り返しの付かない間違いを犯すかもしれないよ」


「わ、わかったわ」


モモカさんは大きく深呼吸をした。


「入り口はカプセル状の真ん中あたり…


まずいな。たぶん下側に入り口があるわ」


「ベヒーモスさん、転がして」


「承知した」


「勝手に俺の精霊を呼びださないで欲しい…まあ良いけど…」


ベヒーモスさんが地面を隆起させると山が出来てカプセルが転がりだした。


一周と少し転がると入り口らしきドアがこちらに姿を現した」


「どうやって開けるの?


こういうのって外から開かないんだよね?」


「インターフォンがあるんだけど、動くかしら」


モモカさんがボタンを押すがジジジジと言うだけで反応は無い。


「故障してるのかも…開ける方法あったかな。作らなかった気がするんだけど...」


「普通に考えたら、シェルターが外から開けられたら駄目なのか」


「いや、緊急時に帰る鍵があったはずなんだけど、取りに帰りましょう」


「それしかないか、仕方ないね」


仕方なく、鍵を取りに帰り明日もう一度来ることにした。


「望みが出たし、これが駄目でも、全滅じゃない可能性が少し出てきたね」


「戦争で全てを失って、今の私達に採掘する技術は無いの。


かろうじて残った探知機で、

エインヘリャルが瓦解してる状況を確認するしか出来なかったのよ」


たぶん、精神的にちゃんと探せない状況だったのもあるんだろうな。


自分達が殺したと思っている子供の死体を掘り起こすのも怖いだろうし、

見たくない気持ちもわからなくない。


「………」


「何?」


「何が?」


「え?今何か言ったでしょ?」


「え?言ってないよ?」


「そう?」


「………」


「え?」


三人で目を合わせてさっきまで居たエインヘリャルの方を振り返った。


そこには一人の女性が立っていた。


「まさか、まさか、まさか」


モモカさんが走り出す。


「リリス~~~!」


モモカさんは焦っているのか何度も転ぶ。


リリスさんと言う女性も、足元がふらついている。


モモカさんがリリスさんに抱き着き二人は倒れ込む。


私達も追いかけた。



「モモカ!モモカ!モモカ!モモカ!生きてた!生きてたんだね!」


「リリス!こっちこそ!死んだと思ってた!」


「なんでよ!あなた達が生かしてくれたんでしょ!私達は生きてるわよ!


生きてたんなら早く開けてよ~!」


リリスさんは顔をぐしゃぐしゃにして泣いてる。


モモカさんも泣いてる。

嬉しくて号泣していた。


「エインヘリャルのほとんどがグングニルで破壊されちゃったの。


それでね。核のほとんどはエインヘリャルの内部で爆発して…

逆に私達がエインヘリャルに守られたのよ」


「そう...なんだ。でもあなた達が生きてて良かった!彼も無事?」


「ええ、彼も無事よ。今はどこにいるかわからないけど」


「私達も、七号機のみんなも無事よ。


子供が八五八九三人、大人が九八三五人、

そして中で生まれた子供が二万八十二人、誰一人死んでないわ。


地上がどうなっているかわからなかったし、ドアが開かなくて出られなかったの。


でも急に回転して、びっくりしたけど、

入り口の状況が変わったんじゃないかって、私だけ出てきたのよ。


みんなを呼んでくるわ。


みんな外に出たがってたから」



「とにかく良かったね。


これで、少しは救われる?」


「そうね。死んだ人がいることは間違いないけど、希望が出てきたことも事実だわ。


腐ってる場合じゃなかった。


まだまだやるべきことがあったわ。


こうなったら彼にも戻ってきてもらわないと、探しに行くわ」


「追いかけて来いってことは、わかるところにはいるんだろうしね」



沢山の人達が出てきた。


次々に、次々に、次々…多いな。


本当に一つの町で生活してた感じなんだ。


みんな結構明るい笑顔で閉じ込められてた感じも無い。


太陽の光の喜びを全身で感じながら、みんなで喜びあってる。


樽の人達より、こっちの方が何倍も幸せそうだ。


モモカさんは、いろんな大人と話をしてる。


全てを失ったと思っていたモモカさんが、

滅茶苦茶生き生きしてて、幸せそうに見える。


本来のモモカさんはこっちなんだろうな。


それからモモカさんは大人と話し合いをしていたが、

生活環境の準備とか色々あるから、数人の大人だけ同行して一度帰ることになった。



リリスさんはとにかく色々知りたいらしく、

モモカさんは町の状況とかを説明してた。


「樽?なに?樽?」


それはそうなるだろうな。


私だっていまだにわからない。


なんだあの樽。


見たらびっくりするだろうな。


樽に入る意味も変わるし、町はきっと大きく変わっていくだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。