↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輪廻回廊369  作者: ヴァネット卿
第二部 第三章 現世

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
74/117

第74話 ゆうなと命の責任

「まず、私達の精霊を大暴れさせましょう!」


どんどん、おねえさんの滅茶苦茶な所が出てきた。


「いや、俺達が世界を混乱させてどうするの」


「そんなことしないわよ。

精霊の力で世界を変えられないと悟れるだけの圧倒的な力を見せるだけよ。


問題は聖女の力と魔力を使う能力者なのよね。


魔力は本人の能力だから止められないでしょ?」


あ、魔力を抑えることが出来るのは聖女しか知らないのか。


「聖女の力にね。あたり一帯の魔力を封じることは出来るよ」


私は意識を集中して魔力の流れを阻害する磁場を展開した。


「はるま君、魔法使ってみて」


「ファイアボール!」


何も起こらない。


「ほんとだ。発動の気配すらなかった」


「魔力って言うのは、あらゆるものに宿る魂の力みたいな物なのね。


その流れを止めれば、魔法は発動しない」


「ちょっと待って、だとしたら聖女が魔王に勝てなかった理由がわからない」


イフリートが答えてくれた。


「魔王の力の本質は魔術に非ず、神話の秘術や精霊の力、

錬金術や悪魔の力と様々だ。


それら全てを止めねば魔王は止まらぬし、

何より魔王や魔王の配下は肉弾戦の方が得意な者が多い」


「嘘だろ。あの魔王が殴りあうの?想像出来ない。


と言うより、あの圧倒的な破壊力を持ってして、得意分野ではない?」


「時と場合で強さは変わると言うことだ。


強者同士の戦いに精霊の力などは役に立たぬが、

我が魔王軍の重鎮に勝てぬというわけではない」


精霊王が介在するような強者同士の戦いでは、

他の精霊なんて及びもつかないってことか。


「アリシア殿にはおそらく勝てないが、アリシア殿より強者に勝てることもある」


言われてみればアリシアさんは格闘技してる人の身体だったな。


あの筋肉で、胸は大きくてお尻を綺麗に締まってて、あれは絶対チートだ。


私もいつかナイスバディになる古代魔法を探しに行こう。


「魔力の流れを止めたら、精霊の力も無くなるんじゃないの?」


「たぶんなんだけど、精霊の使う魔術的な物って魔力に依存しないんだよ」


「我等の使う魔術は封じられるであろうな。


しかし、我等は魔法生物とは違う。


精霊力、自然界のエネルギーによって存在している。


魔術が使えなくとも、我にはこの腕がある」


そう言って振り回したイフリートさんのパンチはすごく痛そうだった。


「私達にとっての酸素が、精霊にとっての精霊力みたいなことかしら」


向こうの世界のこと全然知らなくても、この理解力は流石しおりんだなあ。


「聖女の力を止める方法はあるんですか?無効化する方法と言うか」


「聖女の力の一つにそれぞれの系統の力を止めるってのがあるの。


私は魔力を止められる、聖女の力である神聖力を止める系統もある。


他の聖女が居れば、しかも味方なら良いんだけど…」


「聖女ならそこな一人いるではないか」


「え?」


イフリートさんがしおりんを見てる?


はるま君がしおりんを見て驚く。


「まさか?」


「わた…し?」


イフリートさんは何事も無いような顔で腕組している。




「駄目よ!危険過ぎる!」


しおりんが、聖女の力を引き出すために神の研究所に行くと言い出した。


止める為なら内部の実体を確認するためにも自分が行くのが一番だと。


しおりんらしい判断だけど…それをおねえさんが許すわけが無かった。


「神の研究所の内部も明らかに出来て、二つ目の聖女の力が手に入る。


これからのことを考えればこれが最善の一手です」


「そんな危険なことさせるわけにはいかない」


「なら…ゆうなちゃんとはるま君にもさせないで!


私にはさせられないようなことを、二人にもさせないで」


「俺達には…力がある。父さんのこともあるし引くわけにいかない」


「はるま君、私にも聖女の力があるんでしょ?条件は同じよ!」


私は…反対も賛成も出来なかった。


しおりんの動機が私達のためでも、正義感でも、

その理由が聖女の力が欲しいだけだったとしても…

私には止める理由も権利もない。


かといって賛成は出来ない。


パパの件でわかったことが増える度にひっかかってた思いが、

レイの件で確信に変わった。


居なくなる人間より、居なくなられた人間の方が辛いんだ。


私が、しおりんの危険より私の危険の方がましだと思ってるんだとしたら、

それは私のエゴなんだと…


そして何より、

私は身内に危険が及ぶことを想像出来ないほど子供じゃ無くなったんだなと感じる。


「私は、やります。

みんなが自分のやるべきことを考えて行動してる中で、

私も当事者になった。それだけだと思うから」


「わかったわ。ただし条件がある。


神の研究所に行くことを親御さんに必ず言うこと。


どんな状況になっても私達が最善を尽くすように全ての情報を共有しあうこと。


私達の中で、内緒ごとは無しよ。


ゆうなちゃんとはるま君も、可能な限りの情報をママに話すこと。


まりさんはね。部外者にしておけるほど、何も考えてない人じゃないわよ」


「わかった。もう知られてるしね。ちゃんと話すよ」


「私もわかりました。帰ったら両親に相談します」



しおりんが両親からの許可が取れるまでこれ以上の話は保留となった。


「ゆうなちゃんとはるま君も、

二人だから危険なことしても良いってことじゃないからね。


二人にもし万が一があったら、パパは帰ってくる場所が無くなる。

私だって生きていけない。もちろんママもね。


自分達が掛ける命が、自分達の物だなんて思い上がらないでね」


自分達の命だと思い上がる…なぜかその言葉が本当に重かった。


私は、レイが居なくなった後のミオとセナの姿を知ってる。


起きたパパがどんな顔をするか、ママがどうなるか。

これだけ思ってくれてるおねえさんだって、考えたくなかった。



おねえさんはきっとパパのために、

私達を守るために命をかける人だ。


おねえさんの思いは裏切りたくなかった。


「おねえさんってすごく不思議…」


しおりんの言うとおり、おねえさんがなぜここまで私達のことを気にかけるのか。

いや違う、パパのその先を見ているのか。


何があれば、おねえさんをここまでの思いにさせるのか。


凄く気になった。


恐竜の思いやルーナさんの思い、ナナヨさんも、

この人の魂はいつもパパの世界を見てる。


いつか教えてもらえる日がくるんだろうか。



その日、帰った私はママに全てを話した。


話していたことも、話していなかったことも全部。


あの日、ママの手を握りながら眠って転生したあの瞬間から起こったことを全て。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。