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輪廻回廊369  作者: ヴァネット卿
第二部 第二章 幸福

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第64話 はるまと知るための方法

目の前にあった、大きな木が大きな音を立てて倒壊した。


力任せに殴った。


魔力がこもってたのか、イフリートやベヒーモスの力かわからない。


何も考えられないほど、俺はイラついていた。


ナナヨさんに聞いても、情報が一切増えない。


この人は本当に何も知らないんだ。


最初はおねえさんだと思ったこの人が、今は完全にモブにしか見えない。


いらつく。

きっと、父さんは何もわからないところから、

一人で何かを探して見つけ考え行動してきたんだ。


あ~!父さん!俺にはそんな力ないよ!

父さんの力の一部で良いから使わせてよ!


なんでだ!俺には父さんの力遺伝してないのかよ!


何をすることも出来ず、周りに当たり散らしてる自分が、

最高にダサくて最低だと思った。



次の日、起きて朝食を食べていると、ゆうなちゃんが起きてきた。


ゆうなちゃんの能天気な顔までムカついてきた。


俺は最低だ。

ゆうなちゃんだって同じ世界にいるんだ。

悩んでないはずがないのに、そんなことも考えられなくなっていた。



ゆうなちゃんが隣の部屋でしおりんと盛り上がってる。


その声さえむかつく、いやあの世界のことを相談してるんだろう。


能天気なわけじゃない。


なんか全てにむかつく。



しばらくして、ゆうなちゃんが入ってきた。


「な!あのロケットランチャーゆうなちゃんが撃ったの?

使い方わからずに反対向けに?」


さすがに笑った。

俺はずっとあの軍人達のせいだと思って責めてた。


そうだ、それが駄目なんだ。

俺が理解出来ないのは俺のせいだ。


誰かに解決してもらおうなんて、笑わせる。


考えろ。頭の血管がぶち切れるまで考えろ。


「あ~あそこが空だったのは天井にね…」


「え~何それ~探す場所が違ったのか~」


「んで?はるま君は何に悩んでるの?」


俺は、ゆうなちゃんに理解出来るわけないと思いながらも、

人に話すことで整理出来ることもあると事細かに話した。


「父さんだったらどうしたかな~」


「あの…さ?」


「ん?」


「パパならっていうか、私ならね。


アマテラスに聞いてみるかな」


「ん?何を?」


「どういう仕組みで動いてるの?って」


「え?」


「え?」


「いやでも、教えてくれるわけ…」


「いやでも、別に隠してないんでしょ?だれも」


「そうなのか?」


わかってる。そうだ。誰も何も隠してないってのは俺が感じた話だ。


「パパだって、考えるより情報を集める方が先だっていつも言ってたよ?」


「そうだ。そうだった。考える前にまず知り得る情報を全て掻き集める」


「でも…なんだろう」


しおりんが言う。

「ゆうなちゃんは短絡的過ぎる時があるけど、はるま君は考え過ぎる時があるよね。


足して二で割る。今はゆうなちゃんの言う通り、

とりあえずやってみた方が良いと思うよ」


たぶん、今俺は自分が馬鹿だとわかってそれを認めない理由を探してる。


「そうだね。そうだ。聞いてみるよ」


「失礼な!私も考えてますよ!本当に今回頭がパンクしそう。


どうなったら良いのか。全然わかんない」



「それ俺も思ったけど、

アマテラスが無くなることは絶対にゴールじゃないと思うんだよ。


事故も犯罪も無い世の中を作ってることは間違いなくて、

ノイジーって人がノイズってテロ組織を動かしてもノイジー殺すってならないし…」


「ノイジーってアイドルグループだよ?」


「は?なにそれ?」


「話聞いてた?ノイズってグループの中心にいるアイドルがノイジーだよ」


「は?あれ?戦闘で戦ってたゆうなちゃん含めた四人ってこと?」


「そうだよ」


「え?どういうこと?四人のアイドルを中心に広がるテロ組織?


それと戦う政府軍に制圧の意図はなくて…


それって…」


「そう言われてみれば、映画とかのエンターテイメントショーみたい」


それだ。しおりんの言葉がやけにしっくりくる。

俺が感じてた違和感はそれだ。


なんかエンタメ感があるんだよ。


「そうだ。なんで戦車の前に立ってたの?


戦車同士の戦いに、ゆうなちゃんが間に入ったら危ないことぐらいわかるよね?」


「なんでだろう…当たり前にそうなってたから?」


「いや、駄目だよね?馬鹿なの?」


「はるま君…その言い方は…」


「いや、これ本気の話で、絶対駄目だよ?


命懸けの戦場に居すぎておかしくなった?


自分達だけ死なないとでも思ってない?」


「思ってない…いや、思ってたかも…そこまで考えてなかった…」


「ゆうなちゃんが危険な目にあったら、

俺はあの世界が滅ぼうとも力をふるうよ?


ちゃんと考えて行動してね?」


なんだか父さんみたいなこと言ってる。


父さんはいつも言ってた。


俺がいじめられたとしたら、

相手が転校して教師が辞めるまで徹底的に戦うって…


そういえば、ゆうなちゃんがそれを言われた時に…


ゆうなちゃんは、優しいからそんなこと言われたら言えなくなるわよ。

ってママが怒ってた。


「ごめん。とにかく気を付けてね」


「わかったよ。はるま君ありがとう」


あれ?いじめ?


なんか、引っかかる。


俺は何に引っかかってるんだろう?


PC98、父さんの器が関係してることは間違いない。


少なくとも俺の中で父さんといじめは絶対に結び付かない。


でも何かひっかかる。


俺がいじめられたらの話の時に、父さんは何を話してた?


思い出せ。


「父さんがさ、いじめがなんで起こるかって話してた。


俺達がいじめられてたとしても、

恥ずかしくも、俺達が悪いわけでもないから相手のためにもすぐに言えって…


なんでだっけ…?」


「いじめっ子は心の病気だから、カウンセリングを受けさせてあげたり、

大人が見つけてあげないといけないんだってやつ?」


「そう、それ…

そもそもいじめの発端は…」


「いじめっ子の暇つぶし?」


「それだ!


ムカつくとか、嫌いとか、嫌なことされたとか。


理由をどれだけ並べたとしても、他に熱中出来ることがない暇で乾いた心が、

いじめなんてくだらない暇つぶしを誘発するんだって…」


「それが?」


「いや…なんだろう?


なんか引っかかってたんだ。


でも、だからなんだろう?俺は何に引っかかってたんだろう?」


しおりんが腑に落ちない顔でつぶやく。


「はるま君は、今のノイジーと政府の戦いをそういうレベルで見てるってことかな?


でも、それじゃアマテラスの思考原理が見えない。


政府がアイドルって存在を気に入らないと思ってる理由が、暇潰しだったとしても、

アマテラスがそんなこと考えるって、ちょっと人間味がありすぎるって言うか、

AIがいじめの首謀者にはならなくない?」


「そうだよな~。やっぱりわかんない」


「だから、聞いてみたら良いんじゃない?それしかないよ」


「そうだよね。なんで聞かなかったんだろう」

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