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輪廻回廊369  作者: ヴァネット卿
第二部 第二章 幸福

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第62話 ゆうなとアマテラス

「なんで何も無いの!」


三件目の施設に潜入したが、また空っぽだった。


「外周の施設、未使用?」


「町の中心部に行ってみれば良いんじゃね?」


「そうね。急ぎましょう。

今日中に少しでも情報を持って帰りたい」


数キロは走っただろうか。


レイが突然止まった。


「ここから、突然建物がちょっと変わってる?」


言われてみれば…少しだけ違うのかな?


「ここなら使われてるのかも、入ってみよう」


壁を飛び越え入り口に進む。


監視の光があちこちに飛ぶ。


映画で見たことある、厳重に管理されてる感じが漂う。


ミオがピッキングして鍵を開ける。


「どこでそんなこと覚えたの?」


「ん、父に教えてもらった」


すぐに開いたのでレイが先に入る。


後ろに続くが、レイが落胆の声を上げる。


「なによ。やっぱり何もない。


なんなのいったい」


「本当に何もないね」


「おとり?」


「コンピューターはおろか、机の一つも人の痕跡も何もない」


「おとりのために作られた施設ってこと?


もしくは…罠?」


それから私達は十を超える施設に潜入した。


「ここも空っぽ…」


三人の顔にいらだちと焦りが見える。


「おとりにしても…おとりの方が多いってこと?」


「確率で言えば、本命が一割も無いってことになるわね」


「おとりだとしたら、何から守ってんだよ?」


「私達みたいな、侵入者?」


「だとしたらこの街に入る前をもっと厳重にしない?」


「あ!関係ないかもだけどね。


私のパパの会社にね。

サーバーって言うコンピューター置いてる部屋があるんだよ。


買い替える度に小さくなるから、

最初はいっぱいに使ってた部屋が空き部屋みたいになるんだよ。


ここもそんな感じなのかなって…」


「いや、これだけの建物が空になるほど小さくはならないでしょ」


「まあ、そうなのかもだけど…」


それから数時間、

走り回っては侵入し、何もないの繰り返しで、

私達は一旦帰ることにした。


「そもそも警備の人間すらいないのは、変じゃない?」


「守るべきものが、無いから?」


「じゃあ、アマテラスって何?どこにあるの?」



「とりあえず、私の今の考えを伝えるわね」


レイが三人に向き直り、話し始めた。


「アマテラスが何かわかるまで、戦いは最小限に人は傷付けないようにする。


ゆうなが戦えないってのもあるけど、

私達が何のために戦うかわからないのに、これ以上人は傷付けられないわ」


「了解」


「わかったよ」


「ありがとう!じゃあしばらくは諜報活動だね」


「そうね。知らないことが多すぎる。


あとはライブの準備ね。

また十万人規模のライブするわよ!


戦いが過熱化しない分、ライブで熱狂してもらいましょう!」


あ、なんかわかった気がする。

なんだろう。

もしかして修羅の世界と同じで…

あ、なんだったんだろう。

なんかわかった気がしたのに、その瞬間に答えが消えた気がした。


私はそれが何だったのか、深く考えるのはやめた。


「ライブか~。

こないだのみたいなことにならないように、もっと練習しないと!」




とりあえず、今日眠ったら現実だ。

はるま君側からも色々情報仕入れよう。



朝起きると、はるま君は起きていて朝食を食べている。


怒ってる?なんだか顔が怖い。

それに、少し手が震えている。


「何かあったの?」


「後で話すよ」


はるま君はそれ以上口を開かなかった。


今日はしおりんに話を聞いてもらって、

それからはるま君とも話をしよう。



しおりんが来るまでの間、パパに色んな話をした。


パパの助言通り、

どうなれば良いのかって考えたら事態が好転したよとか。


はるま君が、私のために戦ってくれた話なんかもした。


でも、はるま君が修羅の国でたくさんの人を殺した話は、

いまだに出来ていない。


パパはきっと怒らないと思う。


でも、きっと悲しい気持ちにはなるだろうなと思うと話せなかったんだ。


パパならきっと背負ってくれる。


私達が何をしても、パパは一緒に乗り越えようとしてくれる。


それはわかっていたんだけど…

でもパパにはばれてるだろうな。

私は、パパとママに嘘を突き通せたことが無かった。


何故かパパにもママにもバレるんだ。


だから私はパパに嘘は付かない。


でも、はるま君のことだけは、内緒にした。

バレてるとは思いつつも…



しおりん、なんか久しぶりに会った気がするよ~


「昨日も学校で会ったじゃない」


しおりんが明るく笑う。


なんかこの平和な感じが嬉しい。


私は今の世界で起こってたことをしおりんに話した。


「なんだか難しい世界ね。


ゆうなちゃんの予想通り、サーバーがコンパクトになったか、

台数が必要なくなったから、建物が空っぽなんでしょうね。


それより気になったんだけど、もうその施設群には何もないんじゃない?」


「何もないって?」


「ゆうなちゃんがそこまで侵入出来たってことは、

爆弾で建物吹き飛ばすことも可能なわけよね」


「そ、そうだね。爆弾…」


「ってことは、しらみつぶしに調べても、

どの建物にも重要施設は無いんだと思うんだ」


「あ、そっか。泥棒から守れれば良いってわけじゃないってことね」


「そう、軍が守れる場所じゃないと防衛出来ないと思うんだ。


ということは、元々何もないダミーだった可能性か、

サーバーとかが小さくなって、施設そのものが必要なくなったかね」


「施設そのものが必要なくなった…」


「仕組みが変わったとか、元々思ってた仕組みじゃないのかも。


私も詳しくは知らないんだけど、

AIが難しいのは人の気持ちっていうあやふやなものを、

理解しようとするからだって何かで読んだわ」


「合理主義が突き詰めれば、あやふやが介在しないから、

それほどの処理は必要ないってこと?」


「可能性の一つね」


そのあとも、しおりんと話続けて、ずっと考えた。


合理性の果てにたどり着いた唯一の答え。


一足す一が必ず二になる…


それが何を意味するのか、私はまだわかってなかった。

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