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輪廻回廊369  作者: ヴァネット卿
第二部 第二章 幸福

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第61話 ゆうなと戦う理由

やっぱり踊るのも歌うのも楽しい!


この楽しいの為に戦いがあるのだと思えば…


いや違う。

やっぱり戦うことには納得がいかない。


踊りや歌が、人を殺してまでやることか。


そういう価値観を受け入れたとしても、戦う必要性が感じられない。


でも踊るのは楽しい!歌うのも!

「みんな~!楽しいね~!」


「うぉぉぉ!」


この歓声、本当にみんな心の底から楽しいを望んでくれてる。



ライブ後、私はやっぱり納得いかなくて疑問をぶつけてみた。


「やっぱり戦う理由がわからない。

場所が大切なの?

毎日違う場所でライブを開催するために、勢力圏を拡大してる?」


ミオが重く口を開く。

「私は…復讐のため。

私の両親は政府に殺された。


自由のために戦って殺された。


戦闘だからお互い様、それはわかってるけど、復讐。


あと、死んでいった仲間もいる」


セナを見ると、不思議そうな顔をしている。

「場所を選ばないこと、止められないこと。


自由のために戦う!それじゃダメか?」


考え込んでいたレイが口を開いた。


「私も考えてたんだ。


何故戦うんだろうって…


でもたぶん一番大きいのはアマテラスへの反逆ね。


合理性を追求する社会を止めたい」


三人の考え方は、なんとなくわかる気がする。


でも何か違う。


何か言わないといけない気がする。


その何かが私にはわからない。


パパならどうするんだろう?


魔王や皇帝なら…圧倒的な力で黙らせるか。

アリシアさんもそうだろうな。

でも今はそうじゃない。


アーサーさんなら、シルちゃん、ルーナさんならどうするんだろう。


考えろ。考えろ。考えることは苦手だ。

でも今はそうじゃない。考える時だ。



ふと思い出した。

私の大切な筆箱を壊されて喧嘩したことがあった。

怒る私にパパが言った。


「ゆうなちゃんは何に怒ってる?」


「筆箱を壊されたこと」


「じゃあ、何がどうなったらその怒りが無くなると思う?


痛い目にあって欲しい?筆箱が戻れば良い?

その同級生が消えればゆうなちゃんの平穏が戻る?」


「どうだろう。筆箱はパパに新しいの買ってもらったし…

こっちの方が好きだし。


パパのお金が無駄になったこと?」


「ならパパがそのお金を同級生からもらえば、ゆうなちゃんは嬉しい?


パパは、

ゆうなちゃんがもっと好きな筆箱を手に入れるためにお金を出した。

と思ってるから、損したとは思ってないよ?」


「そうなんだ。でもなんかむかつく!」


「そのむかつく気持ちは別に良いよ。人間だしね。


でも、どうなって欲しいのかがわからないのに喧嘩を続けると、疲れるだけだよね。


ゆうなちゃんに許せとか間違ってるって話じゃないからね。


パパはゆうなちゃんに、そのどうしようもないこと、

わかんないけどむかつくことをわかっておいて欲しいだけだから」


「わかった!あんまり喧嘩しないようにはするね。パパの筆箱嬉しいし!」


それを聞きながらパパは優しく頭を撫でてくれた。



「ミオの復讐はどうなったら終わるの?」


「敵を殲滅する?」


「全員死ぬこと?本当に?


セナの自由ってどうなれば手に入るの?」


「文句を言われなくなれば?」


「邪魔する人の自由を奪うことにならない?


レイはアマテラスが無くなれば満足?


私にはゴールが見えないの。


どうなれば戦いが終わるのか、どうなれば自由が勝ち取れるのか。

どうなればみんな納得出来るのか」


「それは…そうね」


「まずはゴールを考えようよ。


私は復讐が間違ってるとは思わない。自由のために戦うことも時には必要だと思う。


でも、どうなれば良いのかわからないのに戦ってたら、

ただの殺人鬼と変わらない」


セナが考え込んで怒ってる。

「殺人鬼、なんかむかつくな」


「ごめんなさい。言い方が悪かったかも」


「違うよ。自分が殺人鬼みたいなことしてると思ったらむかつくってだけ」


「でも、理由が無いから人間みたいなところもあるわよね」


「それはそうなんだけど…」


「理由を追求していけば、

アマテラスのような超合理性が正しいってことにならない?」


「いやでも、合理性を否定するから非合理性を追求するのも、なんか違うでしょ?


どっちにしてもみんなの目的を一つにしないと、

終わりの無い戦いは泥沼化するよ」


「例えばセナがやりたいライブをアマテラスが認めてくれればどう?


ミオの両親を殺した戦いの非をアマテラスが認めて軍の司令官が処刑されたら?


そもそも、アマテラスが非合理を認めるようになれば戦いは終わるのかな?」


「非合理を認めるアマテラスと言うのが、そもそもイメージわかないけど、

コンピューターに管理させるってのがそもそもおかしいんじゃないかな」


流石にレイは頼れるリーダーだ。

私が言った疑問を整理して、しっかり考えて言語化してくれる。


「そもそもアマテラスって何なのかな。


どういう仕組みで動いてるの?」


三人がそれぞれ目を合わせて首をかしげる。


「じゃあさ。ひとまず戦うのは辞めて、諜報活動にしない?」


「諜報活動?」


「そう、目的の前にまずは現状を把握する。


アマテラスの仕組みとか、どうなってるのか知るために調べるの。


それなら、はるま君にも協力してもらえるようになるかも?」


「それなら戦いを辞めるんじゃなくて陽動作戦として動いてもらえば良いよ。

他の人には今まで通り戦っててもらったらどうかな」


「潜入は私達四人だけの方が都合良いしね」


そうと決まれば、今晩潜入しよう。

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