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輪廻回廊369  作者: ヴァネット卿
第二部 第二章 幸福

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第56話 はるまと完璧な不完全

「俺達の思考が神の考えになるってことか?」

ナナヨさんの話は要するに、アマテラスに俺達の思考をプラスするってことだった。


「あなた達の思考を足した結果、

アマテラスがどういう思考をするようになるのかはわからない。

でもあなたとゆうなちゃんの思考が合わされば、

アマテラスはスサノオへと進化し、次のステップへ進む」


「そこがわからないんだよ。

なぜアマテラスは俺達を指定した?元々この世界に居なかった俺達を」


「元々は、ナミとナギという二人の少女が選ばれていたのよ。


でもアマテラスの予知で、ナミとナギが消えると出たのよ。

代わりにあなた達が現れることも予知していた。

でもね、それ以上先の答えをアマテラスはくれなかったの。


だから私達は独自に、現れたあなた達が答えだと予測した。


反政府組織ノイズは、その情報を得て、

あなた達がこの管理社会を終わらせる鍵だと主張しだした」


「女の子なの?」

そうか。俺の器だからと言って、男だとは限らないのか。

ルーナは明らかにおねえさんより若かったし、

魂が同じだからって同じ時期に生まれたとも限らないんだな。


「答えが出てないなら、

俺達が現れた時点でその計画は白紙に戻るってことかもしれないよね?」


「そうよ。だから私達が今すべきことは、その答えを探す研究よ。

すぐにあなた達をアマテラスに組み込むことは出来ない」


「なるほどわかった。

だけど、研究って具体的には何がしたいの?」


「当面は、この世界を見たあなたの情報を、

全てアマテラスに渡して反応を見ることかしらね」



しばらくは、俺はいろんな人と行動を共にして世界を見て見ることになった。


「アマテラスの指示で、ノイズ弾圧の作戦に参加して頂くことになりました」


急に過激なのが来たな。

まあ世界を見るならその方が都合が良いと言う判断なんだろうな。


「わかった。同行するよ。でも俺は自分の判断でしか動かない。

あなた達が悪だとするから攻撃するような命令は受け付けないからね」


「それはナナヨ殿からお聞きしています。

同行させよとの命しか受けていませんのでご安心下さい」



装甲車に乗り込んだ俺は、指揮官らしき男性に詳細を聞いた。

「今回の任務は、政府に承認されていない集会を襲撃することです。


リーダーのノイジーと言う人物が政府転覆を画策し大軍を集結しています。

放置すれば必ずや国家に危険を招きます」


「ノイジーさんがリーダーのノイズって組織ね。

なんだろう。なんか変な名前だな」


「自らを管理社会からはみ出した雑音、ノイズと称する集団です」


「あ~なるほど。ならノイジーって名前も偽名なのかな」


「見えてきました。あのドームが集会場です」


めちゃくちゃでかい、普通に野球場とかサッカー場とかのサイズだ。

ちょっと待て、なんか変だな。


「なんで非合法な組織がこんな巨大な建造物を?」


「元々スポーツが許されていた時に政府主導で建造された施設です」


「昔は許されてたけど、今はスポーツが許されない?」


「スポーツなどの勝敗で一喜一憂するなど、感情の欠陥としか言えないからです。


そもそも無駄な時間を過ごすことが許されません」


「ちょっと待って。じゃあ大切なことって何?」


「人が完璧に穏やかに過ごせることです」


「いやちょっと待ってそれって…」

絶対楽しくない。何が嬉しくて生きてるんだ?


その時、ドームから漏れ出した音楽が鳴り響く。

楽しそうな音楽に胸が躍る。


アイドル好きの父さんが聞いていた曲に似てる。

コンサートに行く暇はないとぼやいていたが、

ときどきライブ動画の鑑賞をしていて俺も聞いていた。


司令官を見るとあからさまにイラついている。

「音楽が…そんなに悪いこと?」


「そうですね。芸術や娯楽は人を無意味な感情に走らせる麻薬のような悪です」


「それは…」

ちょっと過激過ぎる。音楽が麻薬と同じは極端だ。


その瞬間、ドームの中から大歓声が響いた。


「もしかしてだけどさ…

あの熱気が、楽しそうな歓声が、政府転覆だって言ってる?」


「そうです。彼らの主張はアマテラスの否定です」


「別に否定したって良くない?答えは一つじゃ無いし…」


「まさかあなたのような方がそのような非効率主義者だとは」

怒ってるんじゃない。本気で悲しんでる顔。なんて顔をするんだ。


「勘違いされたくないので説明しておきますが、

私達の目的は、彼らを弾圧したいわけじゃない。


幸せな人間を増やすのではなく、

不幸せな人間をゼロにするために彼らに自粛して欲しい」


「いやでも、歌って踊るアイドルが存在るるからって不幸になる人間なんて…」


「負けたスポーツ選手はどうでしょう?人気が出なかった芸術家は?

アイドルという存在が増えれば序列が生まれる。


華やかな世界を夢見たか弱き女性が自ら命を絶つ未来を、

アマテラスは提示しました」


「それは…」

確かに聞いたことはある。

自殺したアイドルだって実際に存在する。


その未来を予測して、先回りして禁止したってことか。



これは…今まで考えたことも無いほど難しい世界だ。

虐げる奴隷を解放するために国を滅ぼす。

強さのみが正義の世界で違う正義を作る。


今までやってきたどの方法も取れないし、通用しない。


でもたぶん俺は反政府組織の気持ちもわかる。


俺はこの世界で何をするべきなんだ?



ドームから聞こえる歌声に耳を傾けながら、この世界の完成された歪さを考えた。



…


……


………


あれ?


「この歌声って?」

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