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輪廻回廊369  作者: ヴァネット卿
第二部 第二章 幸福

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第55話 ゆうなと世界の雑音

「た~す~け~て~!はるまく~ん!ここにチョコがありますよ~!

…返事はない。ただの屍のようだ」


元ネタは知らない。

パパが何かで言ってた。


「ただの屍は襲ってくるんだって、パパに教えてあげないと」


前に比べたら、クッションでおおわれてて柔らかいが、

身体はさらに動かなくなっていた。


「またこれが一年続いたらどうしよう」

考えただけで涙が出てくる。


ん?何か音が聞こえる?

ドドドドドドドドッ!

ババババババババッ!

銃声?本物の銃の音を聞いたことが無いのでイメージだけど…そんな気がする。


「あいたっ!」

急に私が入る何かが落ちている感じがする。


どんどん加速してる感じがする。

次の瞬間すさまじい衝撃が身体を貫く。

たぶんどこかに落ちたんだ。


状況が変化する分、前より気が楽だ。

一年も身体が動かないあのしんどさに比べたら、

出たら魔王が居ましたの方が楽しそうだ。



それから四時間程、動いてるのか時折傾く感覚があった。


ギュイーーーン!

金属が切断される音?

そう思った瞬間、目の前に火花が散った。

たぶん何かで切断してるんだ。


「わーわーわー!危ない!危ない!」

桃太郎が桃から出る時こんな感じだろうか。

何故桃太郎が真っ二つにならなかったのか不思議だったが、

これは真っ二つになりそうだ!

「危ないって!ほんとに危ないって!私が切れる!」


音が無くなり、隙間からいくつもの目が見えた。

「いる?」「あ、なんかいるよ?」

声が聞こえてきた。


「居ますよ~!ゆうなちゃんがいますよ!だから切る時は注意してね!」


「声が聞こえた!

どうする?このまま切る?」


「このままは駄目!注意してもっと横を切るとか!私が切れる!」


「なんか言ってるけど聞こえないね」


「なんで聞こえないのよ!私は聞こえてますよ!」


「駄目!中止して!移動するよ!」

バババババババッ!

また銃声だ。今度はさっきよりはっきり聞こえる。


「全員ここで殺していくよ!」

あ、やばい。

これ開けようとしてた人が殺す側だ。


それからしばらく銃撃戦って感じだったけど、音が止んでからさらに移動し始めた。

外の音が聞こえるだけでこれだけ安心出来るんだ。



それからまた数時間後、再び火花が飛び散った。

「熱い熱い!あっついってば!」

完全に目の前で火花が飛ぶ。

これ、やけど残ったりしないかな。


一時間ぐらいかかっただろうか、鉄の棒が切断面に突き刺さる。

「あ~~~!痛い!」

中に人がいるってわかってるはずだ。

なのに容赦なく突き刺し、お腹にちょっと刺さった!

「ガッ!痛い!」

そのままこじ開ける。私のお腹ごと…

この人、絶対野蛮人だ!もしくは本当に馬鹿なんだ。

「声が聞こえて人がいるってわかってるなら、もっと配慮しなさいよ!」

本当に痛い。


箱が開くと女の子が三人、一人が悲鳴を上げる。

「なにこれ!あいつらこんな怪我させて!ひどい!」


「何言ってんの!あんたらが開ける時に突き刺したんでしょうが!」


「うそ!まじで?

あ~そうか!深く差し過ぎたんだ!ごめん!」



「改めて…初めまして…かな?ゆうな?」


「あなた達は?私は…今度は誰?」

ここが今までの世界じゃないことだけはわかる。

私が入ってたカプセルだけで、

修羅の世界にも畜生の世界にもない文明だってことはわかった。

現代に近いんだろうか。でも現代では銃撃戦は無いだろうし。


「今度?私達も詳しくはわからないんだけど、あなたはナギと入れ替わった?

ナギは私達ノイジーのメンバーよ」

白髪の子が答える。青目と赤目が印象的な子だった。


「ノイジー?って何?」


「反政府組織、ノイズの広報を担当してるアイドルグループよ」


「テロリストってこと?」


「まあそう思ってもらって良いわ。私はリーダーのレイ」


どことなくシンシアちゃんと似た緑髪の女の子が答える。

「私はセナだよ。ごめんね。痛かったよね?」


最後に人見知りなのか?クールな感じの青髪の女の子が口を開いた。

「私は…ミオ」


レイが説明を続けた。

「それにあなた、つまりナギを加えた四人が、この世界トップのアイドルよ!」


「凄い!トップアイドルなのね!」


ミオが突っ込む?

「…アイドルは私達しか居ない」


「え?アイドルが他にいないの?」


「この世界ではね。娯楽が許されないのよ。

アイドルなんて無駄なことは政府が許さない」


「つまんなそうな世界…」

そう言いながら私は、数万奴隷が虐げられる世界や、

強さのみが正義で常に殺し合いの世界より平和そうだなと思ったんだ。


反政府って言って銃撃戦を繰り広げるほどのことか?と少し思ってしまった。


「それで…今は…どういう状況?」


「ゆうなとはるま?はこの世界を次のステップへ進める依り代に選ばれたの。

私達は、政府とは違う答えを探してあなたを奪った。

だからゆうなはここにいる。オッケー?」


「オ、オッケー。それではるま君は?」


「彼は同じ飛行機で空輸されてたんだけど、奪えなかったわ。

彼も同時に目覚めたのだとしたら、彼は政府側にいるわね」


「まず初めにあなたに聞いておきたいんだけど…」


急にレイが深刻な顔つきになる。

何か重大な…


「あなた、歌は歌える?」


「は?いや、歌は…そんなに得意じゃないけど、歌える…かな」

合唱団に入っていたことがあって、

パパやママに特訓されたこともあるから歌えるのは歌える。


「踊りは?」


「簡単な踊り…なら」

合唱団で振付があったりしたから本当に簡単な踊りなら。


「今夜、ライブがあるの。ヨロシク!」


「え?」


セナが横から言う。

「そのために、今日空での強奪作戦なんて無茶を決行したんだから!ヨロ!」


「え?」


ミオがさらにかぶせる。

「新曲のお披露目。大切なライブ」


「え?」

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