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輪廻回廊369  作者: ヴァネット卿
第一部 第一章 魂の境界

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第14話 ゆうなと再会

「私が殴ったりしたから、ママが謝ってる」

凄く心が痛い。


今朝、私が飛び蹴りを食らわせた相手が親と家にやってきた。


父親と母親を連れたガキがにやにやこっちを見てる。


ママがひたすら謝ってる。


相手の父親が詰め寄る。

「どうしてくれるんですか?」


今まで謝ってたママが素に戻る。

「は?どうするとは?」


「いや、殴られてケガもしてるしキーホルダーも壊れたんですよ」


「だから?」


母親が少し声を上げる。

「いや、だから?ってあなたね」


「うちの子供は殴りました。

殴るのは悪いことなので、謝りました。

お宅の息子さんがうちの息子を殴ったことは謝らないんですか?」


父親が怒っている。

「な、なにを言ってるんですか!」


「何か?

お宅の息子さんが殴ったことは良いことだと?

だからあなた達は親として謝らないと?」


「そのキーホルダーで許してやるよ!」


ガキが私の持ってるキーホルダーに手をかける。


その瞬間チェーンが千切れた。


「パパの!パパと取ったお守りのキーホルダーが!」

私は顔が青ざめた。


これはパパの勇気を私にくれるアイテムなんだ。


「何すんのよ!」

突き飛ばす。


ガキの両親が叫ぶ。

「また暴力を!」


ママは立ち上がり冷静に言った。

「これでキーホルダーの件はお互い様です」


「何言ってるんですか!突き飛ばしたんですよ!」


「どうぞお引き取り下さい。明日学校に、

うちの子供を殴った子の親が殴り返されたと文句を言いに来た。

と連絡しておきますね」


馬鹿親はぎゃーぎゃーと喚き散らしながら、警備員のおじさんにつまみ出された。


こういうことにも対応してくれて頼りになる。


泣いてる私にママが声をかける。


「一緒に直しましょ」


「うん、治ると思うから大丈夫」


ほんとはね。全然大丈夫じゃなかった。


キーホルダーが壊れたからじゃない。


キーホルダーと一緒にこらえてた気持ちが壊れた気がした。


それから夕飯を食べてパパの所に行く。


「パパ、大切にしてたキーホルダー壊れちゃった。

ママが明日チェーンの部分買ってきてくれるから治せると思う。

でも…でも…」


パパ

私はまた泣いてしまった。


それから夜寝るまで少し泣いていた。



パパが倒れた日


はるま君はずっと泣き止まなかった。


ママがずっと手を握って寝てたっけ。


私はお姉ちゃんだからと我慢して離れて寝てたんだ。


でも今日、パパのキーホルダーが壊れて、

なんだかパパへの思いとかたくさん溢れてきた。


パパ、寂しいよ。パパ



今日は寂しくてたまらない。


ママのそばに行く。


ママも察したのかぎゅってしてくれた。


暖かいママのぬくもりに安心して、そのまま眠りについた。



夢を見た。


パパと一緒に遊びに行った夢。


私はパパと二人で出かけるのが好きだった。


もちろんママも好き、はるま君も好き。


でもパパと旅行に行ったり、

ショッピングに連れて行ってもらったり、

漫画喫茶に行ったりもした。


パパと何かをするのが好きだった。


ずっと動画を見てて、

パパとじゃなくてもよかっただろ~ってパパが笑ってたこともある。


でもパパとお出かけしたかったんだ。


携帯ばかり見てる私を、パパが横で見ててくれてるの。


そんな夢を見たの。


「ゆうな!」


誰かに呼ばれた気がした。


「ゆうな!」


私は走り出す。


走って走って光に消えていく。



目を覚ますと見覚えの無い天井だった。


「夢か…」


いや、

「夢か?」


いや、

「夢じゃない」


起きてる実感がわいてくる。


「どこだ?」


ママもいない。


「あれ?」


どでかいベッドで一人で寝ている。


5~6人は寝られそうな大きなベッドだった。


私はベッドに座り考える。


これはなんだ。



「だれ?」


後ろから声がして振り返る。


見たことのない少女が立っている。


「だれ?」


「だれ?」


「だれ?」


お互いオウム返ししてしまった。


そこにもう一人の少女が、

「だれ?」



「私は…ゆうな」

とりあえず名乗らないと進まない。


「ここはどこ?」


「あんたどっから来たの?」

後から来た少女が聞く。


「おねえちゃんはどこ?」

先に来た少女が聞く。


「私は家で寝てた。おねえちゃんが誰か知らない」


後から来た少女が言う。

「家で寝てたら来た?はるまも似たようなこと言ってたね」


「はるま君がいるの?」


この子達が誰なのかまったくわからない。

でも、

はるまという名前を聞いた瞬間、安心のあまり涙が出てきた。


「はるまの友達か?」


「はるま君は、私の弟」


「聞いたことある。はるまのねえちゃんだな」


「はるま君はどこ?」


「飯でも食うか?」


「お腹はすいてない。はるま君はどこ?」


「ナルはどこ行った?起きたのか?」


「ナルって誰?知らない」


なんだこの子、話が通じない。


「はるま君どこよ」


私は泣き出した。


「シンシアちゃん。何もわからないのよきっと。

とりあえず、はるま君に合わせてあげよう」


「はるまなら外にいるぞ」


指さされた扉に向かって走る。


外に出る。


知らない庭の向こうに見たことない建物がたくさん立ってる。


見たことない人がたくさん歩いてる。


たくさんの人をかき分けるように、

はるま君が歩いてくるのが見えた。


私は大粒の涙を流しながら、走って行った。


「ゆうなちゃん!?」


その声に答えるように、

「はるま君!」

私はそのまま飛びついた。

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