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輪廻回廊369  作者: ヴァネット卿
第二部 第六章 欲望

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第118話 ゆうなと責任

「ま~た危ないことをして!

ママとの約束をまた破ったわね?」


「いやでも母さん」


「約束は約束!一週間デザート無しよ!」


「そんなあ」


私は約束でママに怒られるより、

国を滅ぼす引き金を自分が引いたことに頭を悩ませていた。


「でも起こったことは仕方ないんじゃない?」


「そうなのかな…そんな風には」


「シヴァさんって人の話を先に聞いてたらどうだった?」


「どうって…」


「戦争は絶対駄目って止めてた?それとも傍観してた?」


「傍観してたのかな…止めはしなかったかも」


「なら結論は同じよね」


「じゃあママは私達の選択で戦争が起こったことは…」


「ママはゆうなちゃんとはるま君が危ないことしたのが嫌なんです。


言っとくけど、ママはゆうなちゃんにもはるま君にも普通に生きていて欲しいんですからね。


普通に!わかる?普通の人は神の世界に行かないの!」


「それは俺達にはどうしようも…」


「普通の人は魔王の子供じゃないから…」


「だから嫌なのよ。まったくパパは!」


「いや…そこ?」


「そこです」


言われてみればそうだ。


奥さんを攫われた人の話を先に聞いていれば、奴隷の家族とかを先に知ってれば…


私はあの状況を黙認なんてしなかったかもしれない。


家族を守る以外の戦う理由があそこにはあった。


それだけのことなのかもしれない。


だからと言って楽観的に気が楽になることは無いけど…


「まあどっちにしてもゆうなちゃんとはるま君が罪に問われるわけじゃないでしょ?」


「いや…そうだけど…」


「私達が逮捕されることになったらどうする?」


「そうなったら大変ねえ…パパも刑務所には入ったこと無いからわからないわ」


「わからないって?」


「え?どんなことしたら良いのか。着替えとか持って行かないといけないのかしら」


「そんな入院するんじゃないんだから、囚人服とかあるんじゃないの?」


「そっか…ゆうなちゃんとはるま君が今逮捕されるようなことになったら…


学校とか行けないから大変よね」


「そういう問題?」


「そういう問題じゃない?


悪い子になったなら、ママも責任取らないとだけど…」


「嫌じゃないの?」


「何言ってるの、嫌に決まってるでしょ?」


ママにとっては嫌なこと以上でも以下でもないんだ…


「逮捕されるようなことはしないで欲しいわよ?」


「でも実際逮捕されたらどうするかなんて言われても、ねえ?」


ママはベッドで眠ったままのパパを見た。


パパなら恥ずかしいことで逮捕されるなよとか言いそうだなあ。


「ママだったらどうする?」


「ママは~なんにも出来ないかな。


そして羅刹さんと夜叉さんが助けてくれたんならラッキーって思って終わりにする」


「それで終われる?」


「だってゆうなちゃんとはるま君が何かしたわけじゃないんでしょ?


他の人が何をするかまでわかんないし、後悔したって何も変わらないわよ」


「でも羅刹と夜叉を止めることは出来たかも…引き金を引いたのは俺達だし」


「でも止められなかったかもしれないでしょ?


他人と過去は変えられない。自分と未来は変えられる。


ママに色々教えてくれた先生みたいな人が教えてくれた言葉よ。


羅刹さんと夜叉さんを変えられたかもなんて、二人の思い上がりよ。


他人は変えられない。


その決断はその人たちの決断よ。


過去は変えられない。


もしかしたらなんて悩んでる時間があれば、これからどうするか考えなさい」


「これから…そうだね!」


「宿題もまだやってないんでしょ!さっさと動く!」


「そっち~?」


そしてそのままママに監視されて私達は宿題と学校の勉強を始めた。



「ごめんなさいね~はるま君は今日遊べないのよ~」


「わかりました~また来ます。

学校でも良いのでまた話聞いて欲しいだけなんで」


ママが玄関で来客の応対をしていた。


「誰か来たの?」


「ゆうなちゃんに殴られたってうちに両親と来た子居たでしょ?


あの子がはるま君と遊びに来たって。最近仲良いの?」


「まあなんか仲直りはしたかなあ。


あれから俺にもゆうなちゃんにも謝ってもらったしね」


「そうなんだ。それじゃ安心ね」


「え?でもなんで俺に言ってくれなかったの?」


「宿題終わってないでしょ!遊ばせるわけないでしょ!」


「は、はーい」


神にも喧嘩売るはるま君がママには一切の反抗が出来ないのなんか可愛い。


「ゆうなちゃんも手が止まってるわよ!」


「わかってるよ~」


反抗出来ないのは私も一緒か…


「洪水が起こる理由なんて、精霊王を怒らせたからに決まってんじゃん」


「リヴァイアサンさんは、

機嫌悪いから定期的に洪水起こすような人じゃないでしょ」


「そっか…精霊王の権威が届かない場所だからかな」


「地形の問題でしょ?河が土壌より高いとか…」


「あ~そういう問題か!」


「はるま君…勉強しないとほんとに馬鹿になるよ?」


「ゆうなちゃんには言われたくないよ」


「お互いちょっと気を付けないとね…」



「はい、合格。今日はこれで良いわよ」


「やった~やっと終わった~。


はるま君もはやく終わらせなよ」


「わかってるよ。うるさいなあ」


私は勉強が終わったとしおりんにメッセージを送った。


今日は特にやることが無いので、絵を完成させようと思った。


「その絵ってさ。父さんと約束してたやつ?」


「そう、パパの作ってるゲームのキャラ…


あのゲームが完成することは無いかもだし…もう使わないだろうけどさ。


パパが元気な時にもっとちゃんと書いておけば良かったなあ」


「ゆうなちゃんは飽き性だからね。


やりたいやりたいって言ったくせに書かなかったから」


「だってパパがあんなことになると思わなかったんだもん」


そう言いながらも涙があふれてきた。


「ごめん。気にしてたよね」


「大丈夫だよ。早く勉強終わらせなよ」


むしろ口に出して言ってくれた方が気持ちが楽になると感じていた。


「うん…」


ブーブーブー、スマホが振動して見るとしおりんからの返事だった。


「しおりんのお父さんとお母さんが、おねえさんに会いたいんだって」


「しおりんの覚醒に前向きなのかな」


「今まで頑なだったのが、会って話を聞きたいって言うんだからそうだろうね。」


「お姉さんに連絡してみるよ」


そう言ってお姉さんに連絡した


「そう、しおりんの両親がおねえさんに会いたいって、うん」


「わかった。じゃいつでも良いって言うね。


早い方が良いよね?うん。わかった」


私はお姉さんとの電話が終わるとしおりんに連絡した。


「うん、早い方が良いし、いつでも良いって。


え?今日?今から?わかった言ってみる」


ママに合格をもらったはるま君が戻ってきた。


「今日になった。はるま君も行く?

私は行こうかなと思うけど」


「行く行く、用事無くても訓練施設にも行きたいし」


「新技?」


「ちょっと試したいことがあってね」


「じゃあ、しおりんと時間とか決めるね」



それから迎えに来た車に乗り込みしおりんを迎えに行った。


「おねえさんが早めが良いって言う理由はわかるんだけど、

しおりんの両親も焦ってるみたいだったんだよね。


何かあったのかな」


「最近物騒だからとか?それか娘に変なことを吹き込むな!って怒ってるとか?」


どうなんだろう…


「あ、しおりんだ!」


車が止まり、運転手さんの案内でしおりんと両親が乗り込んできた。


「あら、ゆうなちゃんと…はるま君だったかしら?大きくなったわね」


「はい、会ったの一年生の頃だったかな」


「そうよねえ。ゆうなちゃんはうちに来てくれた時にあってるけど」


「私は、初めましてだね」


しおりんのお父さんは少し怖い大きな人だった。


「はい、初めまして。ゆうなです。しおりんとは大親友で!」


「はるまです。弟です」


しおりんのお父さんの顔は少し強張り、怖かった。



三六九機関の受付を通った所ではるま君が訓練施設に行きたいと言い出した。


「後にしようよ。今日はしおりんの用事が先なんだから」


「そっか…それもそうだね」


「能力を持った人たちのことを知りたいんだ。


力を見せてももらえるならそれも見たいな」


しおりんのお父さんがそう言うとはるま君が嬉しそうに応じた。


「ぜひ!じゃあ訓練施設に先に行きましょう!」


エレベータを待つ間も、乗り込んでからもしおりんのお父さんは黙っていた。


なぜか…少し怖い雰囲気が漂っていた。


「じゃあ、見ててくださいね」


はるま君が目を閉じて意識を集中すると、はるま君の身体を炎が包んでいった。


身体を包む炎から火の玉が一つ二つとポコポコと分離した。


はるま君が両手を高く広げると、数十の火の玉が的を囲むようにふわふわと漂う。


はるま君は目を開けると腕を振り下ろした瞬間、

数十の火の玉から小さな火球が一気に射出される。


その瞬間にはるま君は的に向かって走る。


数百にも届く火球とはるま君のラッシュが的を粉々に砕いていく。


私は驚いて威力を示す電光掲示板を見た。


「二十八マン?うそでしょ!これならあの人にも勝てるかも!」


「なんて破壊力だ。数字の意味はわからんが、

こんな破壊力を人間の身体から出せるのか」


「M82って最強クラスと言われる銃の威力でも出て三百って所かしらね。


ちなみに史上最強のボクサーのパンチでも50も出れば良い方だと思うわよ」


振り返るとお姉さんが立っていた。


「はるま君、これはやりすぎね。ここまでの力が必要なことがあるの?」


「これでも届かないんだよ。


まどかさんの同魂存在にも届かない。アリシアって人の足元にも及ばない。


魔王なら…数千万は出すと思うよ。


魔王がちょっと試しただけでも、この施設は灰になるだろうけどね…」


「それなら私の認識が甘かったわね。


それほどとは…」


「お久しぶりです」


しおりんのお父さんが深々と頭を下げる。


お姉さんと知り合いだった?


お姉さんは難しい顔をした。いや…これは…憎しみ?


「しおりんの両親じゃなければ、あなたに会うことなんて死ぬまで無かったけどね」

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