↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輪廻回廊369  作者: ヴァネット卿
第二部 第六章 欲望

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
114/121

第114話 はるまと神々の世界

「ゆうなちゃん、俺達このままじゃ駄目だと思うんだ」


「そう思うなら何かしなよ」


「そうなんだけど…何も出来る気がしないんだよ」


「そうでしょ?なら仕方ないじゃん」


「いや、俺達このままじゃ生きたまま死ぬんじゃないかな」


「もう死んでるかもよ?」


そう言いながらゆうなちゃんは次のドーナッツに手を伸ばした。


「また食べるの?太るよ?」


「別に良いんじゃない?


身体が欲してるってことは、食べて良いってことじゃない?」


「いや違うでしょ」


そう言いながら俺は、チョコにかじりついた。


「ママも連れてきてあげたいね」


「ママは喜ぶだろうね」


「なんかする?」


「ゲームとか?」


「どうだろ…」


「でも、やっぱり駄目だよね」


「駄目だろうね」


「ここに来てどれぐらい経ったかなあ」


「一か月ぐらい?」


俺達は今お菓子だらけの部屋で怠けている。


ゲームがやりたいと言えば出てくるし、

漫画が読みたいと言えば出てくる。


このままじゃいけない。

わかってるけど、どうしようもない。


「アリシアさん達どうしてるかな」


「良い感じでやってるんじゃない?」


「心配には…ならないか」


「ならないね」


「ルーナさん達は…」


「大丈夫でしょ」


「だよねえ」


「ノイジーも元気にやってそうだし、

邪神さんが居たらあの世界も大丈夫だろう…


ヘレンも大丈夫だろうし…」


「ヘレン…そうだね。


アダムとイブ元気にしてるかな」


ゆうなちゃんが急に考え込んだ。


「アダムとイブも頑張ってるのに私達何してるの?」


「そうだよね。頑張らないと」


「でも、まあいいか」


「いいのかよ」


「心配と言えば授業をしてるお嬢様たち…」


ゆうなちゃんがまた考え込んだ。


「どうした?」


「私が授業しようって言ったのに…彼女達きっと大変な思いしてる…」


「だろうね」


「なのに私達何してるの?」


「そうだよね。頑張らないと」


「でも、まあいいでしょ」


「やっぱり、いいのかよ」


ゆうなちゃんが起き上がった。


「いいわけないでしょ!」


そう言いながらゆうなちゃんが急に俺にビンタした。


「いって、何すんの!」


「頑張らないと!気合入れてるのよ!」


「そうか、わかった。じゃあ俺もゆうなちゃんに…」


と言い俺が振りかぶった瞬間ゆうなちゃんがその手を払いのけた。


「私は良いのよ!


はるま君!さっさと起きなさい!いつまでもダラダラしない!」


「なんで俺が怒られるんだよ。


ゆうなちゃんだって…」


「お互いのこと言わない!」


自分勝手な…


「それで?どうするの?」


「どうしようか…


とりあえずお菓子持ってくる人に話聞く?」


「そうだね。


すみませ~ん!」


「ここにてござります、何用でござりましょうか?」


「あのね。この世界のこと知りたいの。


なんで私達、こんなにお菓子とかもらえるの?」


「あなた方は我らの天主である、他化自在天様のお子様でござりますからして」


「パパの子供だから、好き放題出来るってこと?」


「まさしく」


「ここにいる人みんな?


あのお酒飲んでギャンブルしてた人達も」


「あれは他の神々にてござります」


「パパもここにいるの?」


「天主様は第六天にこもられてござります」


「そうなんだ…


神様以外の人もいるんだよね?」


「もちろんおりますれば。


あなた方に比べれば天の使いとて下賤の者ですからな」


「天の使いって天使のこと?」


「天使とはエデンに住まう者どもでござります。


天の使いは神と人をつなぐもの、

呼び方など考えるほどでもない者どもでござりますれば」


「すごい差別的」


「はて差別?」


「自分と違う人のことを悪く扱ったりすることよ」


「それは区別と言いますれば。


神と使いなど、比べるべくもないものでござります。


人は神を満足させるためだけの存在、

それを管理する使いはそれ以下にござります」


「なんか嫌だなあ」


「いや、わかった。


俺達が食べてたお菓子だって、誰が用意したのかって話だ」


「その通りにござります。


あなた方にご満足頂くために我等は存在してござります。


それが私自身の人生における唯一の満足でございますれば」


なんか今までやってきたことを否定されてる気がする。


奴隷が自分が奴隷であることを求めたら、

解放することは救いじゃない。


世界によって価値観なんてころころ変わるんだ。


俺は急に不安になった。


思い返せば俺達にとって一番の恐怖は、

いつだって世界がわからないことだった。


天狗を探したい。


天狗の同魂存在はどこにいるんだろう。


「起こしてはならない怖い存在っている?」


天狗はどの世界でもそういう存在だった。


「もちろん、天主様にござりましょう」


俺は思わず笑ってしまった。


そうだった…父さんもだいたいそうだった。


やっぱりそんなに簡単じゃないよな。


「天の使いとか人とか見てみたいな。


どこに行けば会える?」


「なりませぬ。


神々が人の前に姿を現すなど、天変地異の前触れとなりますれば 」


俺達の世界で言う神と、ここで言う神が同じ物ならそりゃそうか…


「じゃあここで一番偉い人とかには会える?」


「ここで、ゼウス殿にござります。


やめておかれた方がよろしいかと存じますれば」


「なんで?」


「天主様と仲が悪うございますから…」


「喧嘩してるの?」


「いえ、互いに尊重はしておりますれば…

なんといいますか煙たい存在とでも言いますれば…」


「じゃあ、会えないんだね。


なんにも出来ないなあ」


「さようですので、ただただ楽しんで頂ければ幸いにござります」


「困ってる人に会えないと、楽しくないって言ったら?」


流石にゆうなちゃんはいつもド直球で解決策をねじ込んでくる。


「それは困りますれば。


神託を下したいと言うことでござりますれば…


どうすればいいのやら」


「方法はあるの?」


「いや、わかりませぬ」


「え?わからないの?」


「わかりませぬ。


私も神の末席に身を置く者、人になど会ったことがござりませぬ」


「天の使いとは?」


「ありませぬ」


「ないの?」


「神にしか会ったことないってこと?」


「さようでござります」


なんだか話が変わってきたぞ。


神しかいない神の世界って、それ神の定義から怪しいじゃないか。


「えっと…


じゃあなんで自分達のことを神だと思ってるの?」


「これは奇なことを…


神として生まれたからにございます」


「生まれた時に、あなたは神ですよって言われたからってこと?」


「そうですな…」


「この部屋の外見て回っても良い?」


「かまいませぬ。


身体を動かすのが好きな神もおりますゆえ、そういう施設もござります」


「そもそもここはどこなの?城?宮殿?なんて言うの?」


「オリンポスにございます天宮と申しますれば」


「その天宮からは出られる?」


「出られますが、危険もございますし汚らわしき場所でござりますゆえ…」


「良いよ。出て見てみたい!」


「それではご案内致しましょう」



「これは…全然話が違うぞ」


天宮から出た瞬間から、俺達は何を見せられているのか目を疑った。


「人はいないって?あの人達は何だ!」


ボロボロの服で鞭を打たれながら農作業をする人々、

さっきまでの話はなんだったのだろうか。


「あれは滅ぼした他の世界の神々にござります」


「何を…言っている?」


「神々の戦いに敗れた邪教の神々は神に仕える勤めにござります。


邪教の神となった者共は我等の為に働きますれば」


今までの奴隷の前提を覆すほどひどい扱いだった。


奴隷制度も必要かもなんて思ってたのが馬鹿だと思えるほど、

これは誰がどう見てもダメな奴隷だろう。


「こんなの許されるわけないだろう」


「そう申されましても…


邪教の神など許してはおけぬ存在、

このような扱いだからこそ存在が許されるのでござりますれば」


ゆうなちゃんを見ると目に涙を浮かべてる…


神々というからには強いんだろうな。


だとしたら…ここで敵対して良い物か…


やばいやばいやばい。


これ今までより全然やばい。


俺達が戦争を起こす未来も見える。


初めて本気で、世界そのものを敵に回す必要性を感じてる。


「滅ぼす?」


本当にゆうなちゃんは考えるより先に口が動く。


「言わないようにしてるんだから、言わないで?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。