爆睡中の人質はもらっていきます
廊下の赤い絨毯に転がる男たち。
呻き声。
銃を使わない戦闘員はノアにとっては玩具同然。
仕掛けだらけのエクリプス本拠地では、圧倒的にノアに分があった。
「電気も試すか」
更に、新しい罠を思考して楽しんでいた。
階段の手すりに二本のブースターテーブルを取り付ける。
レバーロックを下ろす。
バチィッ!
激しくショートし、火花が散る。
「があぁぁあ!」
「なんだ!おい……どうした!」
階段上部で呻き声や慌てるような声。
「おー効果ありか」
ノアは一度レバーロックを下げ、また上げた。
どこからか叫び声が響いた。
「や……め、ぐうあぁぁぁ!!」
「誰か助け」
ノアは階段下でしばらくカチカチとロックの上げ下げを繰り返し遊んでいた。
「そろそろ良いかな」
スイッチを上げ、ブースターを外した。
階段をスタスタと上っていく。
階段の手すりには複数の男がだらりと伸びていた。
「こいつら邪魔……再考の余地ありだな」
眉間に皺を寄せながらニコの元へ向かう。
──GUEST ROOM。
金色のプレート。
先ほどの非常ボタンで開いているはずの扉は、閉まっていた。
ノアは静かに扉を開けた。
壁に体を隠し、中の様子を探る。
そして、小さく息を吐いた。
壁から体を出し、銃を投げ両手を挙げた。
部屋の中では、この騒ぎの中でもベッドから足を出し、眠り続けるニコ。
そして、ニコに銃を向ける者がいた。
「大人しく俺の箔になれ!」
──ザビィ。
ノアはザビィに背を向けて扉を静かに閉める。
鍵に手をかけ、捻る。
カチャリ。
金属の音。
その瞬間。
「うわぁぁぁ!」
「やめてくれぇぇぇ!」
どこかで一斉に悲鳴があがる。
ザビィの肩は小さく震え、銃を握り直した。
「ザビィ、箔になってあげてもいいよ」
「……な、なんだよ急に」
ザビィは怪訝そうな表情を見せる。
「お前の後ろが気になったからね」
「分かってんだろ!」
ノアはクスリと笑った。
「旧中核……あいつらだけじゃない」
「は?だって、俺は……」
「それが分かるまでは頭はお前に任せるよ」
「へ?」
「くれぐれも、まだ死ぬなよ」
ノアは向けられた銃口も気にせず、ベッドで寝ているニコを抱き上げる。
「お、おい!まだ俺、意味が……」
ノアは頬を上げニヤリと笑うと窓を蹴り破った。
窓のフチに立ち上がる。
「じゃあニコは返してもらうね」
「ん……あれ?ノア君?」
腕の中でニコが目を覚まし、目を擦る。
「おはようニコ。じゃ、捕まって」
「え?」
ノアは、問答無用でそのまま飛び降りる。
ニコの悲鳴が響き渡った。
ザビィが慌てて窓の下を覗く。
植木の上に着地し、無事な様子。
ザビィは、ホッと胸を撫で下ろした。
「って違え!」
ザビィは慌てて部屋の扉の鍵を開けた。
「あぎゃあぁぁぁ!」
「なんでまたぁぁぁぁ!」
どこからか聞こえる男の悲鳴。
「……ここ、何なんだよ!」
戸惑いながら呟いた。




