表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご主人様には悪いけど、今日も裏から世界を掻き乱す  作者: 家宝ダンゴ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/7

最期の挨拶

「選択肢はお前にあるんじゃねえ!」


ザビィの声が響いた。


「うるさ……いちいち大声出すなよ」


ノアは迷惑そうな顔をして小さく息を吐く。

本をソファに置き、ステラを向いた。


「ステラは、何が望み?」


「私はノアと本気でヤり合いたいだけ」


「メリットないだろ」


「そう言うと思ったから!」


「……なるほど」


ノアは妙に納得した。


「ハルトは?」


「最近、退屈だったからさ」


「そう……社員旅行とか企画するべきだったな」


ノアは両手を上げ、身体を伸ばした。


「おい、真面目にやれよ!」


ザビィが怒りで肩を震わせる。

ノアが脚を組み直す。


「ザビィ、お前は頭になって何すんの?」


「お前には関係ねえ!」


「てっきりニコを嫁にでもするのかと」


「な、な、何いってんだ!そんなことしねえし!」


「お前、レオンにビビってたもんな」


ノアは何かを思い出してニヤニヤと笑い出す。


──パァン。


乾いた音が響く。


ザビィの銃から煙が薄く上がった。

ノアの左腕からはじわりと血が滲む。

革張りのソファにポタリと赤く垂れる。


「黙れよ」


「危ないな……セレス、止血して」


眼鏡をかけた長髪の男がノアの腕を掴む。

セレスは大きく息を吐いた。


「……私を巻き込むのやめてもらえますか?」


「今のも避けれたでしょう」


傷口を確認し、白い布で強く圧迫する。


「僕が死んだら身体はセレスにあげる」


「よろしいのですか?」


「役立てろよ」


セレスは目を細め微笑んだ。


「では頭は寝室にでも飾らせていただきます。他は」


「役立てろって……」


ノアは呆れたように笑った。


「俺を……俺を無視すんなよ!」


「大目に見てよ。最期の挨拶だろ」


ノアは立ち上がり、イヴの前に立つ。


「じゃあね」


「ノア……ごめん」


ノアはイヴの肩をトンと叩いた。


「ねえノア、僕忘れない?」


白い髪、天然パーマの小柄な男が照れくさそうに笑う。


「ユーミル、何も言わなくても分かるだろ」


「最期の別れは共に過ごした仲間達と分かち合うのが定石だもんね。もちろん、僕は分かってるよ。ノアが本を読んでる間に僕達を観察していたことだってさ。もしかして、仲間に裏切り者がいるって疑ってたのかな?挨拶を始めたってことはもう疑いは晴れたってことでいい?」


「うん」


マキシムがガシガシと頭を掻きむしる。


「うるせえ!ユーミル!お前、早口でよく分かんねえんだよ!」


ザビィ以外の幹部がフッと笑い、空気が緩んでいく。


「ザビィも箔つけたいんだっけ?」


「僕の命、ムダにしないでよ」


ノアが笑顔で手を伸ばす。

ザビィがつられてノアに近づき、ゆっくりと手を伸ばす。


(……やれる)



扉が開く音。


「ザビィ、それ以上近づくな」


聞き慣れた声。

エクリプス最後の幹部。


「右手にナイフを持っている」


ノアの目が見開く。

伸ばした手を引っ込め、口元に当てがう。


「な、ナイフ?」


ザビィがサッと離れていく。


「レオンもそっち側か……今日はついてないな」


ノアはテーブルにナイフを投げた。

金属の音。


突然、吹き出したように笑い声が響く。


「あーっもう!レオン邪魔!」


「はい。俺の勝ち」


ステラがハルトに紙切れを渡す。


「カフェのドリンク回数券ゲット!」


「くやしいー!」


「人の命をドリンク回数券って……戦闘員はやっぱいかれてんな」


マキシムが引き攣った顔で数步離れた。


レオンがザビィの隣に立つ。


「すぐに椅子に縛れって言ったろ」


「さ、最期にって言うから…….」


レオンは本を開いて見せる。

ナイフや小型の銃がページの間に埋め込まれていた。


「……こいつ!」


「お前だって僕を殺そうとしてるだろ」


ノアは興味が逸れたようにソファに座る。


「ソファのマシンガンなら弾抜いてるぞ」


「……やりにくいな」


ノアはゆっくりと顔を上げる。

上着の胸ポケットのタバコを一度出し、少し考えてまた戻した。


「お前には消えてもらうぞ」


レオンは低い声で言い放った。

ノアはクスリと笑う。


「やってみろよ」


部屋の空気が冷えていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ