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ご主人様には悪いけど、今日も裏から世界を掻き乱す  作者: 家宝ダンゴ


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2/10

狙われた理由がただの箔でした

星が瞬く夜空の下。

エクリプス本拠地入り口には呻き声が広がっていた。

倒れた男から銃とナイフを数本奪う。


「これ、使いやすいかも」


手元で軽く回し、後ろのポケットにしまう。


銃に弾を装填していく。

ポケットに無造作に予備の弾を入れた。


夜空を見上げて、小さく息を吐く。


「僕がいないからって」


「……みんな好き勝手やり過ぎだろ」


眉を顰めて呟く。

立ち止まり、銃のハンマーを起こした。


カチリ。

金属音。


「……死にたくなければ寝たフリしときなよ」


誰に言うでもなく口に出す。

後ろで倒れていた男が諦めたように銃を落とした。


「お、ラッキー」


くるりと踵を返し、笑顔で男を蹴り上げた。


「言ってみるもんだなあ」


入り口に向かって銃弾を放つ。

乾いた音と共にカメラが音を立てて落ちた。


「……また取り付けなきゃな」


「次は防弾にしよ」



ノアはガラスの回転扉に手をかけると、くるりと回して中に入っていった。


赤い絨毯が続く廊下。

二手に分かれる階段。

天井には大きなシャンデリアがぶら下がる。


「動くな!」


電話と同じ声。


ノアはつまらなそうな顔で階段を見上げた。


茶色い短髪の男。

鼻の上に散ったそばかす。


男の腕には、拳銃を突き付けられたニコが涙を流している。


「……ノア君、ごめんなさい」


消えそうな声。


「あーお前か……」


「俺のこと覚えてるんだな!」


「うん」


やけに嬉しそうな男の声。


「……ザビィ」


「ちゃんと俺のこと……」


「使えない出来損ない、か」


ノアの言葉にザビィの肩がぴくりと動く。

ニコの眉間に押し付けるように銃口が向けられた。

ニコの口から小さい悲鳴が漏れた。


ノアはポケットからタバコを取り出し、火をつける。


「おい!ここ禁煙だぞ!」


「僕がいた時は喫煙できてた」


小さく息を吐く。

煙がシャンデリアに向かって伸びていく。


その時。

光る銀色のものがノアの首に一直線に飛んでくる。


「うおっ!」


ギリギリで回避する。

タバコが二つに切り落とされ、床に落ちた。


「ああ、もったいない!」


地面に膝をつき、タバコを拾う。

赤い絨毯に丸く焦げついた跡が残った。


「まだ吸えたのに……」


あからさまにノアの肩は落ちた。

一気にやる気を無くしていた。


光の飛ぶ方向から笑い声が響く。


「おしい!あと少しでヤれたのに!」


現れたのは長い黒髪。

長いスカートのスリットからは整った脚が覗く。


「……ステラ」


ノアは恨めしそうに見上げた。

実質、最後の一本だった。


ノアは息を吐き、ザビィに向く。


「で、何が目的?」


ザビィは頬をニヤリと上げ、嬉々として答える。


「俺がこのエクリプスの頭になる!」


「やれば」


「へ?」


「はい。もう終わったからニコ返してもらうよ」


スタスタと階段をのぼる。


「ニコ、帰るぞ」


「……うん!」


かけ出そうとしたニコを再度抑え付ける。

ザビィの銃の安全装置が外される。


「俺が頭になるには現トップの首が必要なんだよ!」


「別にそんな規則ないだろ」


「箔をつけてえんだよ!」


「箔?そんなの自分で結果出せばいいだけだろ」


悪意なく首を傾げる。

ザビィはプルプルと肩を震わせる。

引き金に力が加わっていく。


ノアは、ポケットから銃を取り出しザビィに向けて放つ。


乾いた音。


ザビィの銃が跳ね飛ばされる。

咄嗟に痺れる指を押さえた。



ニコは走り出す。

ノアの胸の中に。



ニコの背後から銀色の光が飛ぶ。

視線の端に笑顔のステラが映った。



(……やるね)


ノアはニコの腕を掴み、強く引いた。


ニコの銀色の髪が靡き、その隙間をナイフが抜ける。


銃のフレームでナイフを受ける。



カチャ。


ノアの後頭部に銃口が当てられる。


「ステラ、だから二人がかりじゃないとって言ったろ」


見知った声。

ノアは視線を動かさずにニコの体を寄せた。


「……ハルト、か」


細目の男が、ニヤリと口端を上げた。


「ノア、ザビィに箔つけさせてやってよ」


「……条件次第かな」


「だってよ。ザビィどうすんだ?」


ザビィは痺れた手を軽く振ると、銃を拾い上げる。


「部屋に連れて行け」


「あいよ」


「もしかして僕の部屋、勝手に使ってる?」


「あんな悪趣味な部屋使えるか!」


「そう。よかった」


ノアはニコの頭を撫でて耳元で囁いた。


「ニコは助かりそうだね」


ニコは小さく頭を振って、ノアの服をぎゅっと握りしめた。


赤い絨毯が敷かれた廊下を複数の足音が進む。

ノアは下を向いてあくびを隠した。


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