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ご主人様には悪いけど、今日も裏から世界を掻き乱す  作者: 家宝ダンゴ


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10/11

配信スタート!これから処刑です

ガラスの回転扉がくるりと廻る。

黒のスーツ姿のノアは、正面から侵入し直していた。


「……配信どこでやってんだろ」


「やっぱホールの方かな」


大きなシャンデリアの下を通り抜け、分厚い扉を押し開ける。


中には、モケット製の座席が並ぶ。

同じ方向、中央を向いていた。


一筋の照明に照らされるステージ。


ノアは静かに舞台へ向かう。


コツ、コツ。

靴の音が響く。



「……斬新な演出だな」


舞台の上には小型の短刀が一本。

照明の光を浴び、ギラギラと輝いていた。


ノアは舞台に上がり、短刀を掴み上げた。


その瞬間。

各所で上がる雄叫び。

嘆呼の声。


カンッ、カンッと照明が順番に点灯していく。


ノアはホールを見回した。

二階三階はすでに満席状態だった。


「盛り上がってんなあ」


ノアは眩しそうに手をかざした。



「レディースエンドジェントルメン!」


「大変お待たせいたしました!」


二階中央にスポットライトが当たる。

マイクを持つ男がやけにいい声で仕切る。


「これからお目にかかりますのは、サンクチュアリの金魚の糞!……傀儡のノア!」


一斉にブーイングの声。


「……コイツの処刑だああぁぁぁああ!」


上がる歓声。


「盛り上げるの上手いな」


ノアは顎に手を置き、感心していた。


「進行は、ワタクシ、モリヤが務めさせていただきます」


ノアは何となく拍手していた。


「エクリプスは、新しく生まれ変わる!」


「中枢機関と共に平等な道を切り開くのです!」


組織のパーパスや将来像が発表されていく。




そんな中、

ノアは、ぼんやりとタバコのことを考えていた。


ポケットから箱を取り出す。

最後の一本の匂いだけを嗅いだ。


土地を買い、タバコ農家になる世界線までトリップする。

一軒家の縁側で夕日を見ながら煙をふかした。

ふわりと伸びる煙が空に消えていく。


口元は完全に、ニヤけていた。



「ノア!おい!聞いてんのか?……ノア!!」


ハッとして顔を上げる。


二階席にはエクリプス幹部が並ぶ。

真ん中にザビィ。

慌てたように声を荒げていた。


トリップしている間にかなり話が進んでいたらしい。

急いで箱をポケットにしまいこんだ。


「……何?」


空気を戻すようにモリヤが場を温め直す。


「今から決闘を開始する!相手は……エクリプスの暗殺者ステラァァ!」


カツン、カツンとヒールの音が響く。


身体に沿った黒のスカート。

深いスリットからは長い脚が覗く。


「ステラ、人形ぶっ壊してくれ!」


「殺せ!」


「御御足で俺を蹴ってぇぇん!」


歓声に混じり、口笛が聞こえる。



「ステラ……その格好でやるの?」


「これ見せパンだから」


「……なるほど。だからパンツ二枚履いてるのか」


「うっさい!」


ノアは短刀を手の中でくるくると軽く回し、柄を握る。


「じゃあ、やろうか」


「私のサンドイッチの恨み、命で償って貰うから!」



その瞬間。


短刀と銀のナイフがぶつかる。


金属の掠れ合う音が響いた。


上がる歓声。

品のない言葉が飛び交う。


配信の同接数は増え続けていた。


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