表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご主人様には悪いけど、今日も裏から世界を掻き乱す  作者: 家宝ダンゴ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
11/11

処刑配信の投げ銭は止まりません

金属のぶつかり合う音が響く。

数字がクルクルと回りながら増えていく。

コメントと投げ銭がピコンと音を立てる。


「おっと、ここでステラに三万円〜」


「ナイスパ!」


「ナイスパァ〜!」


ノアはステラのナイフをギリギリで躱していく。


「投げ銭って僕も貰えるの?」


「貰えるわけないでしょ!」


ステラの両手には十本のナイフ。

ノアの首と足へ目掛けて一直線に飛んでくる。


「おいっ投げすぎ!」


ノアはバク転で躱す。

床にはナイフが点々と突き刺さっていく。


ステラは、さらにノアの着地点に狙いを定め、ナイフを投げつける。

ノアは慌ててブリッジの体勢で止まった。


「危なっ」


「しぶとい!早く死ね!」


「冷たいな」


ノアはブリッジから立ち上がるとステラに手を伸ばす。

ゆっくりと一歩ずつ近づいた。


「ステラと僕の仲だろ」


ノアはステラの手を取り、指を絡ませた。


「僕達、うまくやれると思うんだけど……」


そのまま耳元で囁く。


「そっちの相性も──」


「却下!」


ステラは容赦なくナイフを振った。

ノアは避けきれない。

白いシャツが裂け、腹から血が飛び散った。


「いたた……うまくいくと思ったのに」


「私はそんなに軽くないっての!このクズ!」


場内では歓声が上がる。


「いいぞ!ステラこのままやっちまえー!」


「硬派なステラちゃんステキ!」


「ステラに5万円〜〜!おっと更に5万!止まらない!」


「ナイスパ〜〜」


ノリノリでカメラに向かって手を振るステラ。

ノアは静かに腹を押さえて止血していた。


「そろそろ、その首もらうから!」


ナイフをノアに向け、高々と宣言する。

歓声が上がる。

分かってはいたが完全にアウェーだった。


「ちょっ、まだ止まってない!」


「血だるまになりな!」


正面からぶつかり、金属音が鳴り響く。


ステラは後ろに飛び上がる。

銀のナイフがノアの首元に一直線に向かう。


「……うまいね、けど」


ノアは、飛んで来たナイフを短刀で塞ぐ。


カシャン。

床にナイフが落ちた。


ほぼ同時に左側からステラがナイフを突き立てる。

狙うのは、左胸。



ズブッ。


肉の裂ける音。


ポタ、ポタ。

赤い雫が床に散る。


ノアは左腕でナイフを受け止める。


「惜しかったね」


「なっ……!」


「この技は対策済みだよ」


ステラは体勢を整えるために後ろに離れる。


黒い長髪が靡く。


その髪をノアは掴んだ。


手に巻きつけ、ステラを逃がさない。


「やっと捕まえたよ、ステラ」


「……っこの!」


ナイフを振るステラの手首を掴む。

ノアが制圧した瞬間だった。



「いい顔だね」


ノアはニヤリと口角を上げる。


ステラの長い脚がノアの顔面を蹴り上げる。

しかし、ノアはあっさりと反対側の脚を払う。

バランスを崩したステラは床に尻をついた。


ステラの腕を後ろに回し、背中の上に乗る。


「さて、お仕置きの時間だよ」


さっきまでのブーイングが消え、歓声が上がる。


「こっちに顔向けてくれ〜」


「ステラちゃん可愛いよぅぅ!」


ステラは歯を食いしばり、屈辱に肩を震わせた。


その時、分厚い扉が開く。


「ノア」


聞き覚えのある低い声。


ノアは声の主に顔を向けた。

スポットライトが当たる。


立っていたのはアルヴァルト。


「義父さん……?」


「荷物は回収したよ」


アルヴァルトの後ろからひょこっとニコが顔を出した。


「ありがとうございます」


「それと、場の空気に流され判断を委ねるのはいけないよ」


「はい」


ステラは身体を起こそうと頭に力を入れる。

ノアは髪を掴んだ手で床に押し付けた。


「厳正に判断します」


モリヤのマイクが響く。


「ここでサンクチュアリの乱入ぅぅ!?」


「やはり傀儡はパパを呼んじゃう無能かぁ?」


盛り上がる場内。


アルヴァルトはくるりと踵を返す。


「では、こちらも配信中だからもう行くよ」


「はい」


アルヴァルトの背中をノアは見送る。

ノアは眩しそうに目を細めた。


「……義父さん」


「あなたの子供でよかったです」



「そうかい?」


アルヴァルトは振り向き、フッと目を細めた。

ニコはアルヴァルトの後ろをついて行く。


「ノア君、先に帰ってるね!」


ニコは大きく手を振った。




「おい!早くステラちゃんにお仕置きしろよ!」


「ずっと待ってんだぞ!」


歓声から罵倒に変わる。


「さてと」


ノアは文字通り尻に敷いたステラを覗き込む。


「……早くやれば?」


「女の子を殴るのはなあ」


「近いことしてるじゃん!」


ノアはステラの髪を離し、立ち上がる。

ステラの手を取り、目の前に立たせた。


「じゃ僕の勝ちってことで」


「それだけ?」


「うん。楽しめたでしょ?」




パァン。

突如、乾いた音が響く。


ノアの肩から血が吹き出す。



「バカ……避ければよかったのに!」


「まあ避けたらステラに当たるしね」


ステラが止血しようと手を伸ばす。


「ステラ!それ以上は裏切りと見なすぞ!」


ザビィが腕を組み、二人を見下ろす。


ノアはステラの手を制する。


「ザビィは空気が読めないなあ」


「もしかして……妬いちゃった?」


ノアはザビィを見上げ、ニヤリと笑った。



「もう、やーめた」


ステラが階段を上る。

カツン、カツンと二階の席に戻っていく。


「なんか冷めた」


ステラはストンと座ると腕を組んだ。

ハルトはニヤニヤとステラを揶揄って遊んでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ