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絶望を裂く翼

魔王城外。

ザラフとポポは血に濡れ、息も絶え絶えだった。


四天王二人が前に立ち、

背後にはなお数百の魔王軍。


逃げ場はない。


ポポは震える手で杖を支えながら呟く。

「……ザラフ……もう……」


ザラフはショーテルを構えたまま、

それでも笑った。


「最後まで立つぞ。

 アッシュが中で戦ってる。

 なら、俺たちはここで――」


その瞬間。


空が、轟音とともに裂けた。

風が逆巻き、雲が押しのけられる。


バルザが眉をひそめる。

「……何だ?」


ザラフもポポも、思わず空を見上げた。


黒雲の切れ間から――

巨大な影が二つ、降りてくる。


飛空挺。

 二隻。


船体には帝国の紋章が刻まれていたが、

その上から新たな紋章が重ねられていた。


ドワルガン王国の紋章。


ポポが目を見開く。

「……まさか……!」


飛空挺の甲板に立つ影が、

胸を張って叫んだ。


「おーい、ザラフ! ポポ!

 まだ死んでねぇよな!」


その声は、二十年前と変わらない。


ドワルガン国王

ドルガン=ハンマード。


巨大な戦鎚を肩に担ぎ、

豪快に笑っていた。


続いて、もう一人の影が前に出る。


長い銀髪が風に揺れ、

世界樹の紋章を刻んだ杖を掲げる。


「間に合ったのね。

 なに二人でカッコつけて命をかけてるのかしら」


エルフェリアの世界樹の巫女

セレフィア=ウィンドレル。


ザラフの目が揺れる。

「……なんでお前たちが……!」


ポポは涙をこぼしながら笑った。

「……来てくれたんだ……!」


ドルガンが笑いながら一言。

「イシュヴェルのシグルの小僧に聞いたんだよ。

 間に合わないのはもうごめんだ。

 二十年かけて飛空挺を用意したんだよ」


ポポが目を丸くする。

「……二十年……?」


ドルガンは肩をすくめる。

「稼いだ金で帝国から買ったんだ。

 あの時、間に合えば……ゼル=アラドが滅びる必要もなかっただろう?」


ザラフの表情がわずかに硬直する。

(……なるほどな……)


飛空挺の側面が開き、

次々と兵が飛び降りてくる。


• イシュヴェル軍の騎士隊

• ドワルガン軍の重装歩兵

• エルフェリア軍の魔法隊



三国連合の軍勢が、

魔王軍の前に陣を敷く。


ドルガンが戦鎚を振り上げ、叫ぶ。


「魔王軍だろうが何だろうが、

 俺たちの仲間に手ぇ出すんじゃねぇ!!」


セレフィアが詠唱を開始する。

「――《世界樹の息吹》」


緑の光が戦場を包み、

ザラフとポポの傷と魔力が一気に癒えていく。


ポポは震える声で言った。

「……ザラフ……生きていいんだね……」


ザラフはショーテルを握り直し、

静かに頷いた。


「……ああ。

 まだ終わってない」


四天王二人が前に出る。


「面白い……!

 なら、まとめて相手をしてやる!」


大地が軋む。

雷が空を裂く。


四天王二人の魔力がぶつかり合い、

戦場そのものが震えた。


だが、もう二人は孤立していなかった。


三国の軍勢が背後に立ち、

二十年前の仲間が前に立つ。


ザラフとポポは、

再び戦場へと歩み出した。


魔王城外の戦線――

ここから反撃が始まる。

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