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光を信じる者、レオンの影

朝の光が外環の街を照らし始めた頃、

アッシュ、ポル、レーネは帝国へ向かう街道の入口に立っていた。


エルフェリアから帝国へ続く道は、王都へ向かう大路のように整えられている。

滑らかな石畳、等間隔に並ぶ魔力灯。

淡い光がまだ眠る街道を照らし、三人の影を長く伸ばしていた。


だが、静けさはない。

朝の街道には、すでに多くの旅人が行き交っていた。


荷馬車を引く商隊、武装した冒険者の一団、

魔法で浮かせた荷物を運ぶ魔導商人、

まるで祭りの朝のように、人の流れが絶えない。


ポルが感心したように言う。


「……すげぇな。

 エルフェリアの外とは思えねぇ整備っぷりだ。

 それに、この人の数……帝国ってのは本当にでかいんだな」


レーネも頷きながら、行き交う人々を見つめた。


「帝国は交易の中心ですから……。

 この街道は“命綱”みたいなものなんでしょうね」


アッシュは前を見据えたまま、短く答える。


「歩きやすいのは助かる。急ぎたいからな」


そう言ったあと、ふと視線を落とす。

まるで胸の奥に引っかかった何かを確かめるように。


レーネが気づいたように問いかけた。


「……アッシュ殿。

 カリム殿から聞いてたザラフ殿の伝言、気になっていますか?」


アッシュは少しだけ目を閉じ、静かに息を吐いた。


「……ああ」


ポルも腕を組み、苦い顔をする。


「“勇者レオンには気をつけろ”……だよな。

 ザラフ族長が過去の仲間をそこまで言うのは相当だぜ」


アッシュはゆっくりと頷いた。


「レオンにとって帝国は“光”……

 帝国が黒でも、白に見える。

 それは……厄介だ」


レーネは不安げに唇を噛む。


「悪意がない分……止められない、ということですよね。

 正しいと思ってしまうから」


「純粋さゆえに危険、か……」


アッシュはカリムの言葉をそのまま呟いた。

その声音には、警戒と、わずかな哀しみが混じっている。


その横を、帝国へ向かう冒険者パーティが通り過ぎていく。

彼らはアッシュたちを一瞥し、軽く会釈して去っていった。

街道の喧騒の中でも、どこか張り詰めた空気が漂っている。


ポルが肩をすくめる。


「まぁ、どんな奴かは会ってみないとわからないが……

 少なくとも、油断はできねぇな」


アッシュは二刀の柄に触れ、静かに言った。


「……ああ。

 レオンがどうであれ、俺たちは進むしかない」


レーネは深く頷いた。


「帝国がどんな国でも……私たちの目的は変わりません!」


ポルは背中の剣を軽く叩き、笑う。


「そういうこった。

 レオンだろうが帝国だろうが、立ちはだかるなら倒すだけだ」


アッシュは二人を見て、小さく息を整えた。


「……行くぞ。帝国へ」


整備された街道は、まっすぐ東へ伸びている。

世界樹の影が遠ざかり、

新たな国、新たな脅威、新たな真実が待つ帝国へ――

三人は歩みを進めた。

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