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世界樹の巫女

世界樹神殿の結界門をくぐると、

空気はさらに澄み、光は粒となって漂い始めた。

世界樹の根が地表に現れ、白い神殿を抱くように広がっている。


ポポが小さく息を整えた。

「……行こう。セレフィアが待っている」


神殿の奥へ進むと、

淡い緑光が満ちる大広間に、一人の女性が立っていた。


長い銀髪。

世界樹の葉を模した巫女衣。

背後には小さな光の精霊が舞い、彼女の呼吸に合わせて揺れている。


セレフィア=ウィンドレル

かつて勇者パーティ〈五光の勇団〉の回復役であり、今も昔も世界樹の巫女として国の中心に立つ一人。


彼女は振り返り、ポポを見た瞬間、

その表情にわずかな嘲りを浮かべた。


「……久しぶりね、ポポ。

 内環を出て、外環の“雑多な街”で遊んでいると聞いたけれど?」


ポポは眉をひそめて反論する。

「なぜわからないんだセレフィア。

 今の時代は魔法研究より国の発展が大切なんだ」


セレフィアは目を細めて言い返す。

「その発展のせいで森の魔力が乱れているわ」


ポポは下を見て黙る。

その時、ポルが一歩前に出る。

「ここのやつらは変わらないな。

 外環のおかげで研究出来てるのに、外環を見ようともしない」


セレフィアは冷ややかにポルを見た。

「……あなた、エルフェリアにいたの?

 魔力がないのに?」


ポルは睨み返すが、言い返さない。

アッシュが思わず口を開きかけたとき――


セレフィアの視線がアッシュに向いた。


その瞬間、空気が張りつめた。


「……あなた。

 その身体の奥……“何か”がいるわね」


アッシュは息を呑む。

レーネとカリムも身構える。


セレフィアはゆっくりと歩み寄り、

アッシュの胸元に手をかざした。


「……召喚獣の残痕。

 しかも……この魔力の質……」


目が大きく見開かれる。


「まさか……ソウルベアラーの……生き残り……?」


アッシュは言葉を失う。

ポポも驚愕に目を見開いた。


だがセレフィアはすぐに表情を引き締め、

首を横に振った。


「……いいえ。そんなはずはない。

 ソウルベアラーは二十年前に全滅した。

 記録にも、そう残っている」


それ以上は語らず、口を閉ざした。


ポポが一歩前に出る。

「セレフィア。

 揺らぎの中心へ向かうための“鍵”を……」


セレフィアは静かに頷き、

腰のポーチから小さな結晶鍵を取り出した。


世界樹の根を模した紋様が刻まれ、

触れた瞬間、淡い緑光が脈打つ。


「これが世界樹の地下へ通じる鍵。

 揺らぎは……根の深部から発生している。

 早く調査して」


ポポは鍵を受け取り、頷いた。


アッシュたちは神殿の奥へと視線を向ける。

世界樹の根が絡み合う暗い通路が、

静かに彼らを待っていた。

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