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反則
小鳥が飛んだ。小鳥はいるらしい。
「一度だけ、戻そうか……俺のせいにしてやる」
あのラオさんがそう言った。
赤が驚き、緑が戸惑い、青が落ち込む。虹のエリイが返す。
「でも、いっつも満点だものね」
他のエリイは青ざめ、畏れ畏れラオに目を向けた。
「ドロップ舐め終わったのなら、さっさともどれよ」
「ええ!」
「冷たい!」
「仕方ないわね」
ティーカップを片手に虹色エリイがため息をつく。勝手に紅茶を飲んでいた。
「おまえもだろ……」
声が低い。
「そ、そうだっけ?」
エリイたちは戻らなかった。いつものパターンだった。
ラオは神の呼吸法で自我を保ち、その感情を果て無き彼方の棚に置いた。
彼らは戻ってきた。ぽん、ぱぽん……ぱぽぽ……。
因果不可逆への冒涜。
「あ〜いい湯だった〜」「あ〜うまかった〜」「あ〜良く寝た〜」
エリイたちはその奇跡を見ていた。
「なんで反則」
「皆嬉しそうなのに」
問いではなくて愚痴だった。
「ばれてないかな」
「ばれるよね」
「ばれてるよ」
「少し、黙ろうか……」
あのラオ君が、透き通っていた。
「せっかくだから」
虹のエリイが口を開く。
「どさくさで作りなおしちゃえ。風とか水とかいるし」
せっかくという言葉があまりに軽かった。どさくさという言葉がさらに酷かった。
その時。
「ギギ……ギギギ……」
重くきしむ音がした。
終わりだった。




