第5章:サーバーの疫病
第5章:破滅の王
警告:全サーバーに通知。「破滅の王」が覚醒しました。
推奨行動:ログアウト。生存率:0.01%。
血は、もう乾いていた。
47人の「勇者」の死体は、データの塵となって消えた。骸の玉座だけが、真実だったことを証明している。
俺は立ち上がった。黒いコートが、床に引きずる。
「最終ボスが、狩る側だ」
その一言が、全チャットに流れた。システムの強制告知だ。拒否できない。
プレイヤーA:マジかよ…PT全滅…
プレイヤーB:Lv.999ってチートだろ
プレイヤーC:運営!何とかしろ!
プレイヤーD:ID:??? 名前すらない…
そうだ。俺に名前はいらない。俺はこの世界の法則そのものだ。
俺は手を上げた。ダンジョンが地鳴りを上げた。100層全ての扉が開く。
「来い。24時間やる」
『破滅の王』が門を開いた。
制限時間:24時間
クリア条件:『破滅の王』を討伐
失敗時:全ステ-50% / 所持金-90% / 1週間BAN
参加条件:なし。死んでもペナルティなし。
静寂。
3秒後、サーバーが悲鳴を上げた。
「行くぞ!」
「報酬神!」
「死なないなら行くだけ行くか!」
愚かだ。死なないように設定したのは、恐怖を100%味わわせるためだ。
俺は第100層、玉座の間に戻った。黒曜石の床。壁には100万の敗者の名。
ギィ…
最初に入ってきたのは配信者だった。手が震えている。
「えっと…皆さん今、最終ボスの部屋に…ひっ!」
俺は笑った。
発動。
『空間支配』:この領域では、俺はどこにでもいる。
彼の背後に現れ、耳元で囁く。
「高評価頼む」
『終焉』が一閃。画面が暗転した。配信終了。
それから2時間。
入ってきたPT:183
総プレイヤー数:923
結果:全滅。生存者:0
俺のHP:100%
通知が鳴った。
『破滅の王』により923名を殲滅。
世界の恐怖度:MAX
プレイヤーの98%がログインを拒否
24時間が経った。誰一人、俺にダメージを与えられなかった。
扉の前には、捨てられた伝説装備の山。呪われていると思って、誰も触らない。
その時、最後の通知。
【運営より】: ただちにイベントを停止してください。アカウントを凍結します。
俺は返した。たった一言。
「俺はバグじゃない」
「俺が、このゲームだ」
送信と同時に、全サーバー強制シャットダウン。
5分後、復旧。
ログイン画面が変わっていた。
『破滅の王、降臨』
『挑むか、滅びるか』
そして、玉座の横に新しい椅子が1つ。
空席。
次の『王』を待っている。
俺は『終焉』を玉座に立てかけ、笑った。
狩りは、ここからが本番だ。
第5章 終




