天使
区切りの問題で、短くなってしまっています
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夜になると魔王はまた魔王殿に戻ってくる。
いつもと同じ静かな夜。
(魔王陛下… あのお美しく優しそうなお姫様…いえ、亀姫様の、きっと…ううん、おそらく慕っている人…)
隅に隠れた天使は、ほんの少しだけ魔王を横目で盗み見る。
魔王はただ静かに横になり、小さな寝息を立て始めた。
天使は亀姫の心を理解できなかった。
天使にとってはこんなにも恐ろしく感じて、言葉をかわすどころか視線一つで身体が震え上がってしまう相手を、心から慕っているようだった亀姫。
(……近衛様も…この魔王様のことを、とても慕っていらっしゃると…)
自分だけが怯えている。
だけど、それは本能的なものだ。それは仕方ないじゃないか。
そう自分を弁護してみるものの、天使の心に小さなトゲがささる。
天使は元来、純善の存在で。
自分の快く思う人物たちが慕う相手を、何も知りもせずに怯えて嫌悪する自分に小さな罪悪感を感じてしまった。
そんな自分への小さな疑問と罪悪感が、天使の瞳を少しばかり魔王に向けさせた。
ブルリ。
やはり、それだけでも身体が震える。
恐ろしいと思う。
(やっぱり、私は…!)
そして天使はまた御車の中へと潜り込み、蹲ってしまった。
「……」
そんな天使の気配を、魔王は感じていた。
ほんの僅かだったが、視線を感じた。
それは嫌悪で向けられるものではなかったような、気配。
魔王は天使の心など知る由もなく、天使のその小さな変化の理由を考えざるを得なくなり…その日、静かに眠るふりをしながら 結局は朝までよく眠れずに過ごした。
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