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汝の名は、魔王ー魔王と天使の物語ー  作者: 木彫りのクマ
75/99

合流

―――――――――――――――――――――――――――」


天空宮殿・最上階

天守閣



「……は。まったく魔王らしくない」



「深く望みすぎて。僅かにでも叶うのならば、それだけでも代えがたい価値があると思えてしまう。……滑稽だな」


「魔王、それでは―― それでは、帰ってきてくれるのだな!?」


「………信じたいとは思う。だが、本当に可能性があるのか」


「――――っ」


「ないなら、諦めよう。素晴らしい夢物語だった。希望を語る神の話術、見事だった」


「ある……! だが、口で説明しても信じてもらえないような方法だ! 言えば、余計に疑われるような!」



「…言ってみろ」


「――魔王の身体。その魔素を抜き、再び浄気によって満たす……」


「浄気を…?」



「お前を、元の天使へと戻す」



「……は」



「はは…。 なるほど、そういうことか。つまり俺を殺して、別人を作ろうというんだな」


「別人ではない! 元々は天使なんだ、その身体は本来は浄気を受け入れられる…! 我々を憎み、拒んでいる魔素さえなければ出来るんだ!」



「魔素さえなくせば、世界はまたひとつに戻せる!!!!」


「……」


「お前の体を流れる力を、すべて入れ替える強引な方法ではあるが――」


「仮に、それで俺が浄気に耐えうる身体を手に入れたとして……」



「魔族はどうなる。魔の国は? …世界の一部を壊してなかったことにするのが、お前の言う“ひとつの世界”か?」


「~~~それはっ」


「神界のすべての神族を犠牲にしたように。魔国のすべての魔族を犠牲にして、俺に天使へ帰化しろというのだな」


「……っ一部の魔族、そして神族は復活できると考えている」


「一部…?」


「元が神族の4種族。それから魔王の血を過去に引いた者。あるいは魔素の影響も浄気の影響も受けず、自己の生命力を用いて生きるもの…」


(……そんな一族がいただろうか? ……まさか、精霊族…?)



「長い歴史の中で多くの血は混じり合う…」


「………」


「必ず、浄気への耐性を強く残す者は多くいるはずだ! その彼らは、浄気による統一世界で復活が可能になる!」


「不確定ではあるが、大多数が見込める、と?」


「そうだ…! 決して魔族を無碍にしているわけではない! だがこれは夢物語のような綺麗事ではないからこそ…… 犠牲が出るのは、やむをえまいと考えていた…っ」



「……ふ。確かに、聞けば聞くだけ胡散臭い話だな。犠牲と危険が多すぎる」


「だが、出来る! 魔素にさえ阻まれなければ、神の力はそれを可能にする!!」



「……理想を信じ、神の力にすべてを委ねろ、というのか。無茶を言うものだな」


「だが信じてくれさえすれば、我々はお前を倒して無理やりをせずとも、もっと確実に統一世界を作り出せるだろう!」



「信じる……か」


「ああ! 信じてくれ!! 我々を疑うべきことなど、本当はなにひとつ無いのだから!!」




「――疑うことは容易いのに。どうしてこうも、信じることは難しいのだろうな」


「魔王……それでも、どうか……」」



「どうか、信じてくれ」



神が目を閉じ、手を合わせた。

祈りをささげるようにして、切に願う相手は、魔王。


その異常性に、常識が崩れていく。

信じるべきもの、疑うべきものがわからなくなってくる。



「――………



魔王が、口を開きかけたその時だった。




『陛下ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』



まるで現実を呼び覚ますかのような必死の声が、響きわたる。



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