神の警戒3
壁を探っていた近衛が、作業を続けながらぽつりとこぼした。
それから振り返るような気配。
「見つけましたよ、おそらくこの扉の開閉装置です」
「よくやったわ、近衛。それで、何が大丈夫だというの」
「陛下のことですから。余裕があるうちに会話をふられれば、面白がって自分から話を聞いてしまうのではないかと」
「肝心なのは甘言にのるかどうかじゃなく、話を聞いて時間稼ぎされてしまうかどうかなのでしょう? ――陛下が戦神妃を神だと思っているのなら、話を聞くと思います。だから、大丈夫ではないかと」
その言葉を聞いた亀姫は、あ、と呟いて頭を抱える。
戦神妃の言葉を、ククと笑いながら聞き入る魔王の姿――。それが容易に想像できてしまったのだ。
「ああ…そうでしたわね。きっと陛下なら、そんな話でも聞いてくださるのでしょうね」
「――そうですか。それならばやはり、神が浄気を放出するまでは大丈夫でしょう」
神従者は苦笑し、それから真顔で近衛と亀姫を交互に見る。
「ワタシは神にとっての裏切り者。ワタシの顔を見れば神は警戒を強めるでしょう。ですからこれ以上はついていけません」
「ここから先はお任せします。大丈夫だと思えるとはいえ……あの戦神妃と魔王が共にいるのですから、なるべくなら早く神の懐へ」
「神にどのような態度をとられても 従順に頷けということね」
「怪しい素振りをして、疑われているほどには余裕はない――」
「はい。出来ますか?」
「ふふ。どれほど癪に触ろうと、陛下の御為なら出来ぬことなどありませんわ」
「頭を垂れながらでも、よくよく探ってみます」
近衛はそういうと、先ほどみつけた開閉装置に手をかけた。
「開けます。神従者さん、見えない位置まで下がってください。隠れたら合図をください。合図がなくても30秒したら開けます」
「! はい! あ……あの、一言だけいいでしょうか」
「何か」
「その…。ありがとうございます。こんな私の話を信じてくれて……」
「………」
「……信じたわけではありません、他に検討するものがないだけ。この先に貴方の話と違うものがあれば、騙した貴方を殺させていただくわ」
「それで充分です。ワタシは嘘などついていない…この先に進めば、ワタシの話が真実であるとお分かりいただけるでしょう」
「………そう、わかったわ。 さあ、早くお下がりなさい」
「はい! どうか、どうか――」
「我が娘の命を、お守りくださいませ………っ!」




