神の警戒
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天空宮殿・最深部
――始まりの間、手前
「ここに、本物の神が居るんですね」
近衛は暗闇の中、手探りで行き止まりの壁部分に触れる
扉状になっているのか、はたまた何かの仕掛けによって開くのか。それを探るためだ
「感触は、ここまでの道にあった壁と同じような石ですね。扉だと知らなければ、本当に行き止まりにしか見えないでしょう」
「これは力技で開ける扉ではないはずです。この場所自体が秘匿なのですから、そう複雑な仕掛けもないでしょう。どこかに必ず開けるための何かがあるはず……」
「近衛」
「はい、すぐに探しだします。お待ちください」
近衛は壁伝いに手を擦り当てて、扉を調べる。
一方で亀姫は、僅かに声を潜めて神従者に呼びかけた。
「こちらの声が、向こうへ漏れはしないかしら」
「それは大丈夫でしょう。こちらから中の音が聞こえないように、あちらもまた聞こえないはず」
「そう……。それでは改めて確認いたしますわ。この中に神が居る。私たちはここを開けたならば奇襲をかけ、速攻で討つ――でよろしいのかしら?」
「悪くない…ですが。正直なところ、その策は博打と変わりません」
「では?」
「神は集めた浄気を、なんらかの方法で固定しているはずです。それを打ち出されたら魔王は終わると思ってください」
「浄気をどのような方法で固定しているのか、発動の方法が何か…それはワタシにもわからないのです」
「…呆れた。ならあなたは、神を殺すことが発動の条件にもなりうると仰いますの?」
「…可能性は大きくないですが、充分にありえます」
「ふざけてらっしゃるの。それとも、私達を騙してこんな場所に連れ込んだとでも?」
「と、とんでもない! ワタシだって娘の命がかかっているんです、ふざけてなど!!」
「ではどうなさるおつもりです。ここまできて、討っていいかわからないなんて――」
早口な小声で捲し立てる亀姫
その勢いに飲まれ、神従者も対抗するように小声で吐き捨てる
「こう言ってはワタシは本当に神界での居場所を無くしますが…神は独善的で、気位が高い方なんですよ。それを利用しましょう」
「下手に刺激をすれば、激昂して浄気を放出しかねないですからね」
「利用するといっても、具体的にはどうすればいいと考えますの」
「瞬間的に打ち倒し、それで浄気の噴出を妨げられれば最速の策となるでしょう。ですが最良策は、先に浄気の噴出の仕組みを暴くこと。……刺激せぬように入室する必要があります」
「この扉を開けて、気付かれずに探り出すなんて無理ね。……つまりあなたは私たちに、神の下手に出ろとおっしゃっているのね」
「魔王の戦から離れ、神の元に降りてきたかのように見せて油断を誘うのです」




