最上階:天守閣
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天空宮殿・最上階
――天守閣
ドガシャャアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
それまでと違い、階段のあるべき場所には荘厳に飾り立てられた大扉があった。
見事なステンドグラスがその両扉にあしらわれていたが、
何を描いたものか確認する間もなく獣王が扉を押し開け、無残に床にガラス片が散らばった。
「グルル……」
「………広いな。それに、開けてみるとわかる。この先に――いるようだ」
「先ニ行ク」
「ああ。構わぬが、浄気が強い。無理はするな」
身を低くして、ガラスの散った床を跳躍していく獣の群れ。
魔王は道を譲り、足元に散らばるガラスを眺めていた。
左右に描かれた印象の違うステンドグラス。
ひとつは、おそらく神族…創世主を描いたもの。
そしてもうひとつは、魔族…地獄の化身と呼ばれた初代魔王に見えた。
(……だとすれば、何故、神の間に魔族の姿絵が…?)
神にとって、魔族とは忌々しいものだろう。
その姿絵を神聖とされる神の間への入り口に飾るものだろうか。
(……たとえば、救世の姿を描いた神に対比させ、地に堕とされる魔族を描くならわかる。だが、先ほど見えたこれは、どちらも同じような立ち姿)
(……ただの悪趣味ならばよいのだが。神族が魔族をどう思っているのかなど…ここにきて想像するのは苦いものがあるな)
ガシャ…ギシ。
砕けた硝子を踏みしめ、魔王は階段を登る。
バサリとマントを広げなおし、腰元の刀を据えなおす。
階段を登りきった先は、宮殿の横幅いっぱいに広がった廊下。
その中央にある大扉の前、左右に広がった獣達が 魔王を待っている。
コツ、コツ、コツ……
グルル……
「ほう。……さすがここまで来ると、漏れ出す浄気が多いな。開けられなかったのか」
「……グルル」
獣王は、僅かに目線をそらして低く唸る。
その様子はつい先ほどまでの好戦的な獣の目をしていない。
魔王はそんな獣王の毛並みにそっと手を這わせ、忠実な臣下の様子を伺った。
「もしや、言葉を語るのもつらいのか? 魔素の維持に集中せねばならないような状態で、戦にはならない。退いてよいのだぞ」
「退かヌ…」グルル
「本能が、ここを開けてはならぬと告げているのだろう? 獣のそれは強いと聞く。無理をする必要など――
「ガウルルル!!!!!!」
「くく…。あまり撤退を強いては、噛みつかれそうだな。しかしこの浄気の強さ、これ以上には後続の者は連れて行けない」




